2015.11.30
大阪府生活保護交渉
11月30日、13単組61人が参加して行なわれた。「私の生活実態」アンケートは 98枚を提出。「生活保護基準を元に戻して」「資産申告はやめて」などを要望。
■私のひとこと
- 生活保護基準を下げ、住宅扶助を引き下げたのは許せない。3万9,000円の住宅扶助になった。 私は4万円のところに住んでいるので、1,000円は自己負担になると思っていたら、例え1,000円でも、基準よりオーバーするから、転居せよと言われた。1,000円の自己負担をしても住み慣れた所に住みたい。
- 母子世帯。保護を受けてよかったことは子どもの病気の時、すぐ病院にいけること。私は病気持ちで働けないが、「働け」とまわりから言われるのがつらい。支給日に家賃、公共料金などを支払うと4万円しか残らない。子どもは3歳で成長するが服も買えない。小さい靴が痛いと言うが我慢させている。夏の熱中症、冬には風邪に気をつけて節約しているが、電気代は1万円を超える。子どもはベビーバスで温め、私はシャワーですませ、月に1、2回風呂に入る生活だ。
- 家電品を買うために生活をきりつめ貯金をしている。資産申告で調査をするのはやめて。
■重点項目のやりとり
生活保護基準引き下げ
【大阪府】 平成25年から3年平均6.5%引き下げがあり、審査請求もいただいた。基準は国が定めるもので、自治体がこれを変えることはできない。国に対して生活にみあったものに見直してほしいと要望している。
【大生連】 これ以上削りようのないほど苦しい生活。消費税10%になったらもっと苦しくなる。基準をもとに戻してほしい。
住宅扶助の引き下げ
【大阪府】 市場価格調査のうえ国が示し、実施されたもの。経過措置などを十分説明せず、下がることだけで案内したことが、現場で混乱を招いたと聞いている。それについては、順次国から通知が出て、一定配慮すべきところ、留意すべきところへの指導を周知された。大阪府においても個別、慎重に対応していただくよう通知を出して周知を図っているところ。先ほどの吹田の話では、基準額より1,000円高いだけと。まずは家主と交渉してさげてもらう、次に転居指導があれば、転居費用は自治体から出ると言うメリットを活用していただく方法もある。転居指導による転居は公費が多くかかるデメリットもあるので、福祉事務所によく相談してほしい。
資産申告について
【大生連】 1年に1回調査をするというが、法的根拠は何か。
【大阪府】 法4条1項、28条1項による。1年に一回と言うのは「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」の一部改正として通知がだされた。保護手帳(資産の申告)や問答集にも示されていることから資産申告の調査をすることになった。
【大生連】 条文には必要があるときと書かれている。毎年1回、全員にとるのか。
【大阪府】 必要性という点では1年に1度ということではなく、変動があれば把握するということと思う。
【大阪府】 府の立場としては国の指示通りに自治体を指導せざるをえない。改善を要望していく余地はあるかと思う。
【大生連】 保護世帯を疑いの目で見ている。保護をもらっているのだから、これぐらい辛抱せよという劣等処遇としか思えない。保護世帯に、なんでつらい目にあわせるのか。資産申告は必要 な時には出したらいいと思う。なんで1年に1回なのか。
【大阪府】 全保護者に12ケ月に1回資産申告の提出を求める課長通知が今年4月に出された。現場としても大変な作業だ。制度を運用する立場としては、実施要領通りに適用していく。改善すべきものは要望していく。
【大生連】 28条1項と1年に1回の調査とどう関係があるのか。全生連中央行動では厚労省も答弁 不能になり、60条を出してきた。これは生活上の義務のことであり、資産には関係ない。一括 同意をとっており、疑義があれば、本人の同意を得て調べたらよいのではないか。それを無視して1年に一回機械的に資産申告書を出さねばならないのか。大阪府は各自治体に保留せよと 指導してはいかがか。
【大阪府】 今回の12ケ月に1回の資産申告書の提出は近年の法改正、不正受給のことが背景にあ るのではないかと考えている。不正受給防止の施策として調査が求められている。不正受給は 数%、わずか数%のために取り締まるというのは、現場のCWも難儀をしているところ。信頼 関係を築いてやればいいではないかとの話も出たが、それで済まない方もあって、国が義務づ けたとわれわれは理解している。国が答弁不能になったから保留をせよというが、今年の4月 に課長通知がでて、まだ未実施の自治体もある。そういう中で、府の判断で保留をせよと言う 時期ではない。
【大生連】 保護世帯とCWの信頼関係を覆すものだ。法的根拠のない違法な実施要領に基づく資 産申告書は撤回しかない。
【大阪府】 CWが喜んでやる人はいないと思う。仕事が増えたととらえているCWが多いのでは ないか。不正受給防止が背景にあってやってみようと始められた制度なので、やらなくていいとは自治体にいうのは難しい。やってみて、CWの声を聞いて国に上げていくものかと考えている。
【大生連】 提出しないときはどうなるのか。
【大阪府】 絶対出さない人については、指導指示の対象になる。指導指示に従わない場合、最終的なことになるが、停廃止の対象になることもありうる。課長通知にも書かれているのでせざるを得ない。
【大生連】 不正受給をしたわけでもないのに、なぜ27条の指導指示なのか。停廃止とは言語同断だ。 (大阪市の資産申告書を示して)これは、命令、押しつけではないか。
【大阪府】 府からは資産申告の運用について通知を送った。しかし、実施したか否かの把握はしていない。
【大阪府】 まだ、監査の対象とはしていない。
【大生連】 大阪市の文書は押しつけ以外の何物でもない。2014年の大阪市生活保護行政の調査をして、不正受給件数などの情報を開示をした。その中で、ある区ではうっかり通帳に残っている200円、150円なにがしかまで、不正受給件数に上げていた。CWが聞けば済むことではないか。資産申告書の説明もなく、提出を求めるのは危険、保留を求めます。
申請手続きについて
【大阪府】 申請権の侵害のないよう周知している。監査等で微妙な話がある場合は、侵害を疑われることのないよう指導している。
資産申告についての危惧
【大生連】 保護世帯は不正をしているのではないかとの疑いを持っている。不正はあってはならないが、大阪市の不正受給でも3%程度。CWと被保護世帯の信頼関係があれば資産申告を出す必要はない。必要なときに徴取すればよい話。CWの充実で保護世帯との信頼関係を築けるようにすることが大前提だ。27条で機械的に保護の停廃止はしないこと。目的があって預貯金がある人の収入認定をしないこと。目的や理由をよく聞いたうえで個別に対応してほしい。CWに通知が徹底しないと保護世帯に誤った対応をされる恐れがある。この点はよく周知してほしい。全生連は国とも協議を重ねている。大阪府とも引き続きお話をしていきたい。
■各事案でのやりとり
住宅扶助引き下げ
【岸和田】 家主が家賃を基準内に下げてくれたが、共益費が上がり自己負担が増えた。
【守 口】 来年の契約更新後の住宅扶助がどうなるのか、教えてくれない。不安だ。
【大阪府】 そこに住む必要があれば経過措置を適用できる。しかし現場の判断になる。
【枚方市】 離婚して間もない3人世帯。4万9000円の基準のところで家賃が6万円。離婚に至るまでの経過もあり、子どもの学校校区の関係で引っ越しはできない。特別基準を申し出たが、これに対して枚方市は特別基準の『地域において基準範囲内の住宅が無い場合』に当てはまらない「地域とは枚方市内全域、枚方中を探せば基準内の家はある」と返事。厚労省は「地域とはその世帯の生活圏、校区もそれに入る」と答えている。大阪府においても特別基準の考え方を認識してほしい。
マイナンバ―について
【大阪府】 申請時に書くように準則では示されている。子ども家庭センターの様式は変える予定。
【大生連】 情報がもれること、悪用を危惧している。
【大阪府】 あってはならない。ケースファイルの扱いや書類の取り扱いについて注意喚起を諸会議で行いたい。
【大生連】 申請時にマイナンバーを書く必要があるか。
【大阪府】 マイナンバーの提供は保護の要件にはなっていない。
過誤払いについて
【大阪府】 法63条による費用返還は被保護者が窮迫などにおいて資力があるにもかかわらず、保 護を受けた場合に、その受けた保護費の範囲内で費用を返還していただくもの。返還額の決定
に際しては、当該世帯の自立更生のためにやむをえない用途にあてられたものなど福祉事務所が認めた額で返還額から控除されるものもあります。
【大生連】 収入申告をしていたにもかかわらず、行政のミスで63条による費用返還を求められた
場合、控除を適用していない福祉事務所が多い。枚方市でも25年度573万、26年度431万円の過誤払いがあるという。府下の過誤払いの件数は把握しているか。対象額、決定額、各件数も調べてほしい。北九州や大野城市の裁判でも確定している。
【大阪府】 控除等については個々に検討して63条を適用している。
【大生連】 過誤払の原因として、CWの配置1:80が守られていない。調査の余裕もない。 任期付CWが多く、福祉の仕事としての保護行政の継続性がない。有資格者を配置して対応し て。生活保護予算は国が100%保障して。
自動車保有について
【岸和田】 免許を持っている。しかし、ケースワーカーから自動車に乗らないように言われた。 自立が見込める場合は保有を認めるべきではないか。
【大阪府】 就労のため、車に乗ることは問題ない。しかし、岸和田市は車を所有して生活のため に使うのはダメと言っているのでは。