2010.11.19
大阪市生活保護交渉
耐久消費材、特に、クーラー、冷蔵庫、テレビなどは最低生活に必要です。
国や市は特別な予算を組んでほしい
11月19日中之島中央公会堂にて大阪市健康福祉局保護課と1日目の交渉を行いました。当局は武市課長代理、喜志係長他が対応されました。当日は緊急援護資金についても交渉しました。大生連は16単組102人参加。アンケート11単組177枚提出しました。
一時金復活を求める参加者の声
- このままだったら熱中症になると病院が福祉事務所に進言してくれたので引っ越しできた。一時金を復活してほしい。
- 電化製品がつぶれても買い替えができない。
- クーラーもなく、熱くて寝れないのでベランダに水をかけてすごした。98歳のお見舞いにもいけないのは悲しい。初めて一時金いただいた時は感激して涙が出た。半額でも支給しないのか。なぜ廃止したのか。
【大阪市】 見舞金は、法律で決まった制度ではなく、現金支給のありかたについて議論された。大阪府が半分、残りを大阪市が負担をして見舞金を支給してきた。府・市の財政状況が悪くなり、大阪府が見舞金を出せないと決定した。そのあと、大阪市は個人給付の役割は終わったと認識。みなさんに日常的ゆとりがある状況ではないとこちらも承知している。廃止を決めた際には申し訳ないことではあったが、就労支援策に移行しようということで大阪市では見舞金制度を廃止した。
■アンケートについての感想
【大阪市】 猛暑につづき、冬も寒さが厳しくなると聞いている。光熱費が最低生活費にふくまれているとはいえ、異常気象の際は日頃から余裕がない中でたいへんだとは皆さんの話を聞いて思います。クーラーをだしてという要望も、家具什器費の中で難しい部分もあるが、国に届けられたと聞いている。
●浪速区ではケースワーカーも増えて、年に数回訪問され改善された。クーラーの有無なども調べてもらって、国に実態を届けてほしい。最低生活の保障の観点からもクーラーは必需品。古いクーラーは電気代も高いので、買い替えも必要。大阪市は国に強く夏季加算を要望してほしい。
【大生連】 大阪市は財政がないというが、無駄な大型開発予算をけずって福祉にしてほしい。
【大阪市】 老齢母子加算がなくなる前からアンケートを見ているが、節約の割合が激増していると思う。今の生活保護の基準が健康で文化的といえる内容かと思うが、見舞金復活は困難。
《出された実態でのやりとり》
【東 成】 市営交通割引を復活してほしい。
【大阪市】 日常的に必要な経費は生活扶助にふくまれていると判断し廃止。復活は困難
■葬祭扶助について
【淀 川】 葬祭扶助について周知徹底してほしい。
【大阪市】 葬祭扶助は20万1000円以内。ドライアイス代などは状況による。葬祭扶助については開始時にしおりで説明するが、再度徹底する。ひとり世帯の場合は別世帯の子どもや身内などの申請になる。葬祭扶助はなくなった方に支給されるものではなく、葬儀を行う人に支給されるので、申請する方の住んでいる自治体の責任で行われる。身寄りのない方、全く身内と疎遠の方の場合は民生委員や家主などの申請で亡くなった方の居住地で行う。なお、葬儀をおこなったところの基準で支給される。
■生活資金
【都 島】 再就職し、給料が出る間の緊急援護資金の貸し付けを認めてほしい。以前は採用通知を持参して認めてくれたこともあるのに、今年は同じようなケースで断られた。
【大阪市】 緊急援護資金の対象にはならないが、生活福祉資金対象になる。
【大生連】 生活福祉資金は急場に間に合わない、ライフラインにかかわるので緊急援護資金で対応してほしい。何のための駆け込み資金か。
■亡くなった人のゴミ、荷物の処理について
【大阪市】 生保世帯で亡くなった方のゴミ処理代は支給されない。
■クーラーの購入について
【大生連】 『保護手帳』に「真にやむを得ない事情により4万400円の特別基準の範囲内で家具什器費を支給して差し支えない」としているが、劣悪な家庭環境は「真にやむを得ない事情」に該当するのか。『問答集』には「冷蔵庫、電子レンジなど」と書いてあるが、クーラーは該当するのか。また、生活資金の貸付対象になるのか。
【大阪市】 (貸付)要綱どおり、生活保護世帯への貸付はしません。
【大阪市】 国は個別品目を示していない。一時扶助は必要性と緊急性で判断するようにいわれている。保護開始時、長期入院の退院時に優先するものをその金額の範囲内で購入してほしい。耐久消費財の購入、こわれた場合も経常の生活の範囲内で計画的に購入していただくことになっている。
【大生連】 冷蔵庫やクーラーは生命にかかわることで緊急の対応が求められる。市で独自に実施してほしい。また、生活資金の貸付ができるようにしてほしい。国にもクーラーを家具什器費として支給するよう求めてほしい。
■申請時の対応について
【平 野】 夫が行方不明になった。生活保護の申請に行ったら、受付面接から弁護士を通じて「離婚せよ」「失踪届けをだせ」と。「保護を受けても3ケ月くらいしか出ないと。命にかかわるなら別だが軽い病気では医療券は出ない」と言われた。ひどい対応は改めよ。
また、生まれた時から今までのことを全部話せと言われた。(最近では家系図まで書かせる。)必要か?と問い返したら、どうせケースワーカーが聞くことだから、ここで聞いておくほうが早いと言われた。
【大阪市】 現地に事実確認をするが、期限付き保護は法律にはない。また、現状の生活実態をお聞きするのは当然だが、過去のまったく関係ないことまでお聞きするのは行きすぎと思う。申し訳ありません。
■申請段階の就労報告書提出は違法
【淀 川】 申請時に就労報告書を渡される。一週間に2枚提出しないと保護の決定が下りないと言われた。これでは法定期限内に決定することが無理だ。(2件が期限内に決定されなかった)本庁からの指示で、就労指導のときに一週間に2回の面接が基本と言われたが、撤回してほしい。
【大阪市】 就労支援の通知は確認する。文書があれば提示する。一週間に二度面接に行くことが就職活動の前提であるような指導はあってはならないが事実であれば指導する。
■行政は基本的人権を守ること
【平 野】 ①かかりつけ医から京都の病院を紹介され通院。通院移送費を請求したら「お金がないですか?」と言われた。
②面談時にひとりでも入れる労働組合に入っているといったら、「抜けたらいいのに」と言われた。
■就労支援について
【平 野】 申請の段階で受付面接に就労支援の人を紹介される。就労支援に入らないと保護の要否にかかわると言われる。本来、生活保護が決まったあとに、相談しながら指導援助するもの。要保護者の段階で就労支援の強要は行きすぎではないか。
【大阪市】 言葉による威圧、いやな思いをさせるなどがあってはならない。そういう言動は慎しむように指導しているが、さらに徹底する。ここまでひどいとは思わなかった。活用できる能力があれば活用してくださいというのが保護の原則だが、意思に沿わない強要があってはならない。働くのは本人なので、納得することが大事だ。
【大阪市】 申請の段階で就労支援に入らなければ保護の決定にかかわるような発言は不適切。若い人にはできるだけ早く就労につなげたいので、就労支援ができる方にはしている。支援員は指導・指示をおこなうことはできない。仕事を探すプロとしてどんな仕事が良いか。履歴書の書き方、ハローワークの利用などをアドバイスする。
■就労支援員の指導権限について
【大生連】 就労支援員の指導指示の権限について。②生活保護利用者は労働組合や生健会になどに入れないのか?③保護費の自己決定権あるのか。
【大阪市】 就労支援員は嘱託職員で生活保護上の指導権限はないと考える②結社の自由は保障される③自己決定権がある。
【大阪市】 就労支援ではなく、自分で就職活動してもかまわない。被保護者の自立助長のために指導することが職員に理解されていないのであれば申し訳ない。
■医療券などの申請用紙発行について
【住之江】 保護課に退院の報告に行った。病院を代わるので新しい医療券と移送費の申請用紙.を求めたら、担当がいないから出せない、再度出直してくれと言われた。しんどい体でやっとの思いで行っている。担当がいないと用紙は出してくれないのか。
【大阪市】 担当以外でも対応できる。不適切だった。区に伝える。
■転居指導について
【淀 川】 精神疾患でひとり暮らし。家賃が5万2千円と基準オーバー。度重なる転居指導に病状が悪化。医師も「むりやり転居すると病状がさらに悪化する」と証明している。診断書も5千円かかるので、福祉から病院に問い合わせてほしいと言ったら、それはできないと言われた。段々痩せてきて、症状が悪化。そこで福祉は「訪問のたびに衰弱するからほんまに病気悪かったんやな」と四回目で転居指導を取り下げた。
【大阪市】 すべての指導指示は本人の意に反してやってはならない。高額家賃のため、最低生活費に食い込む危惧はあるが、本人の意思に反し医師も病状が悪化すると指摘するのであれば指導の再検討をすべき。区にも確認する。
■居宅生活移行支援
【大阪市】 申請中は実施機関には指導指示権限ではなく、助言指導になっている。受給中の指導指示は世帯の自立助長のためであり、なおかつ強制するものではない。居宅生活の前提として安定した住居がない要保護者(ホームレス、DV被害者)に敷金が支給されるようになった。その際に①保護が必要な状態であること。②居宅生活ができることの二段階で判断するよう厚生労働省から示されている。
【東 成】 静岡からAさんをたよって引っ越してきた人に疑いをかけ、申請は受けられないと言われた。引っ越してきた人は居宅での申請を受け付けられず、とりあえずセンターに入ってくれと言われ、夫婦がべつべつのセンターに入居した。男性が入居したセンターは南京虫が出て、くさいにおいのするひどいところだった。その後、居宅に移行したが、支給されたふとんはペラペラの薄さ、夫婦なのに茶碗が一つしかない。1000円で買えるようなちゃぶ台が3900円と単価が高い。また、善意で対応してくれる家主と悪徳業者と同一視しないでほしい。
【大阪市】 今年四月から居宅生活移行支援事業を実施。これをうけないからといって、それがそのまま却下になるわけではない。やみくもに強要はできないことになっている。東成の事例は相談を聞く姿勢として冗談でも疑いをかける発言はしてはならない。区に指導する。布団は業者と契約し現物支給になっている。入札も厳格にしているが、入札時より悪いものでないかを確認する。什器費は業者を指定していないし、特定の悪徳不動産にひっかからないよう指導はするが、不動産屋の指定はしていない。