行政交渉

2010.08.05

大阪市生活保護交渉

8月5日(水)、中之島中央公会堂にて大阪市健康福祉局保護課と2日目の交渉を行いました。交渉には16単組99名が参加。追加アンケート15枚を提出しました。当局は武市課長代理、貴志係長ほか保護課が応対しました。

夏の見舞金要求・実態アンケートへの回答

【大阪市】 生活の苦しい実態、大変な状況がわかりました。食事代、光熱費の節約はこれまでもお聞きしていたが、クリーニング、散髪代の節約などが書かれてあり、被保護世帯を含めて、消費に回せるお金が減っていることで町全体の活気がなくなり、商売が成り立たなくなっている状況がわかつた。商店の営業も成り立たないとそういうお店がっている。これまでにないほど生活保護に対する市民の厳しい目がある。この制度がなければ生活できない人がたくさんおられるなか、制度を守る正念場と感じている。ケースワーカーへのひとことで「しょっちゅう担当を変わらないでほしい」というご意見には申し訳ないと思っています。今年も保護世帯の急増で年度途中に職員の変動がありました。

交渉のやりとり

◆老齢加算復活と夏季加算の創設を

【大生連】 生活保護基準は一般勤労世帯の消費水準の70%程度に到達し、妥当な水準といわれるが、生存権に程遠い水準だ。
【東淀川】 熱中症で倒れた会員もいる。夏季加算、夏の見舞金を出してほしい。
【大生連】 母子加算の復活に続き、老齢加算の復活を国に声をあげてほしい。大阪市が医療費の一部負担などを国に求めているが、診療抑制の改悪はやめること。

◆居宅生活移行支援事業

【大阪市】 4月14日に居宅生活移行支援事業を立ち上げ、手探りで走りながら救護施設を利用して事業を進めてきた。効果もあり、落ち着いてきたので、この間の検証もしていきたい。この先、しつかり役立つ制度にしたい。制度を受ける人のハードルになっては本来の主旨に反するので。硬直的な扱いではなく区を指導していきたい。
【淀 川】 働きながら友人宅に居候している人に、「更生施設」に入ることを強要された。
【大阪市】 本人の同意が前提で、制度の十分な説明が必要だ。

◆ボーナス証明は撤回すること

【大阪市】 ボーナス証明(会社の証明をもらう)は使わないように大阪市的に統一する。24区の査察指導員の集まりで経過もふまえて徹底する。
【大生連】 文書で徹底することを要望する。

◆ケース移管について

【鶴 見】 リストラや負債をかかえ、マンションを処分し生活保護を受けた。鶴見から大東に引っ越す予定、担当にも相談しながらすすめてきた。新しい住居も探している。ケース移管で再開ができると思っていた。しかし、引っ越し間際で求職活動が不十分だからと大東市から移管を拒否された。
【大阪市】 実施機関が変わったら一から検討するが、普通は生活保護が必要な人には市町村間でスムーズにいくよう移管のための情報を提供する。
【鶴 見】 大東はいっさい資料を受け取らなかったと聞いている。
【大阪市】 個別に対応したい。

◆事前調査はしないこと

【 北 】 生活保護の申請に行って、預金などのコピーをとって受理をしなかった。事前調査はやめよ。
【大阪市】 事前調査はあやまりと指導したが、たびたびお聞きするので徹底については再度伝わる方法を考えたい。
【大生連】は文書指導を求める。)

◆仕事も見つからないのに、保護をきるな

【平 野】 就職活動をしている60歳過ぎの人に、仕事探さないと3~6ケ月で保護を切ると言われた。
【大阪市】 「稼働能力を活用しているか否かについては、①稼働能力の有無、②稼働能力を活用する意思の有無、③活用する就労の場を得ることができるか、否か」で判断する。仕事についてないのに、期限を切って廃止にするのは誤りです。

◆求職活動の交通費について

【淀 川】 30代男性。ジョブプラザ大阪に一年間通っている。交通費を請求したら、うつ病の療養に専念するように言われ、パソコン教室もあり、自分の可能性を開くために今も通っている。求職のための交通費は支給してほしい。交通費の申請は受け付けてほしい。
【大阪市】 申請はまず受け付けて、決定処分をすべき。

◆医療証を発行して。窓口での対応の改善を

【鶴 見】 子どもの修学旅行時に保険証がないといじめられる。
【大阪市】 教育委員会は修学旅行、一泊旅行時に健康保険証のコピーを各家庭からとらないように通知している。保護課から教育委員会に再度伝える。
【平 野】 受診時に保険証がないと、他の人から「なんで保険証がないの」といった目で見られる。
【大阪市】 医療証方式への変更については、大阪市単独での実施は困難。
【東淀川】 診察が終わって窓口にいくと「保護の人は医療費はいりません」と言われる。近所の人も来院している。やめるように指導してほしい。
【大生連】 大阪市内の病院に文書で指導してほしい。
【大阪市】 検討します。
【平 野】 生活保護を申請し所持金がない人の扱いで、区によって繋ぎ資金の額がばらばら。原資についても教えてほしい。
【大阪市】 区によって緊急援護資金か厚生援助資金のどちらかで運用している。金額も区で判断。

◆民生委員

【生 野】 生活保護を利用するようになった時、民生委員のところに挨拶に行くようにケースワーカーから言われた
【大阪市】 挨拶に行くことが保護の決定要件ではない。絶対に挨拶に行くようにいうのは誤り。そうであれば指導する。
【大阪市】 民生委員はほぼ小学校区ごとに地区準備会をたちあげ、委員をきめる。年齢や条件などの要綱にてらして判断し大阪市は推薦する。民生委員は地域の状況を把握することがうたわれている。住民に貸付制度の紹介、聞き取りなどもおこなっている。生活保護世帯だけでなく、高齢者であっても区から案件があがれば見守りの対象としている。虐待の場合も対象です。民生委員には罰則規定はないが、守秘義務がかせられている。任期は3年。

◆リバースモゲージ(要保護世帯向け長期生活支援資金)について


※「要保護世帯向け長期生活支援資金」とは
人が生活に困ったときは、住まいに用いられる家や土地を持っていても、生活保護による必要な支援を受けられるのが原則です。ところが国は、2007年4月より、65歳以上の単身、夫婦世帯で500万円以上の資産価値のある自宅(土地・建物)を所有している高齢者の場合、自宅を担保に入れて借金し、そのお金で生活することを強制させる。自宅を担保に生活費を借金する制度。


【淀 川】 10年前から保護を利用。本人は動けない状態なのに、何の説明もなく調査に同意する書類が送られてきた。448万円の固定資産税額。500万円以上の資産を対象としているのではないのか。
【大阪市】 固定資産税の評価額は少し低目に出るので、固定資産税×10/7の実勢価格に直すので、その方の評価額は500万円を越える。本人に調査に同意してもらい、不動産鑑定をしてもらい(市の予備調査)、府の社会福祉協議会にまわす。府でも不動産鑑定をした上で制度の対象になるか、否かを確定する。平成19年にリバースモゲージ制度が発足した。この方が制度の対象になることはわかっていたので制度を丁寧に説明する必要がある。会計検査院が淀川区に入り、公平性の観点から制度対象者全員に書類を送った。しかし、説明もなく書類を送るものではない。きちんと指導する。
【大生連】 リバースモゲージは劣等処遇のなにものでもない。大生連は反対だ。ともかく本人への説明と納得は徹底すること。
【大阪市】 了解。