行政交渉

2007.12.27

大阪府生活保護交渉(2日目)

交渉2日目 大生連15単組・81名が参加

12月27日の午後1時~5時、市立中央青年センターにて大阪府社会援護課と二日目の交渉を行いました。当局は北山総括課長補佐他17名が対応しました。「私の要求書」は3単組16名分を提出しました。日本共産党小松久府議会議員も参加されました。

交渉のやりとり

◆生活資金について

【大生連】 民生委員の介入がなぜ必要なのか。
【当局】 地域で支援が必要な世帯の状況把握などを行っている民生委員に貸付がその世帯の更生に役立つかどうかを確認している。今後もこのやり方を継続していく。
【大生連】 なぜ介入するのか説明を。民生委員は個々の実態まで把握していない。なかにはまわりに話しまわる人もいる。
【当局】 民生委員は特別職の公務員で守秘義務もある。そのような場合は社会福祉協議会に通報して下さい。社協の職員は他の職務もあり、申し込み世帯の状況把握について民生委員に協力をお願いしている。
【大生連】 居住要件の3ヶ月条項は撤廃せよ。
【当局】 府税を原資としているため、3ケ月以上居住していることを貸付条件としている。
【大生連】 ずっと府内に住んでいるのに、市が変わったからと借りられないのはおかしい。
【大生連】 小口生活資金になってから理由が限定されているために貸付件数が減っている。その上3ヶ月条項があるために借りれる制度になっていない。府民のくらしの実態から出発すべきだ。
【大生連】 生業資金の貸付に20%の自己資金がなぜ必要なのか。
【当局】 事業が継続できるには一定の運転資金が必要。事業への熱意を量る意味で自己資金の20%は必要。
【大生連】 低所得者は生活そのものが大変な状況で暮らしている。自立し生活を更生していくための貸付資金の目的として、自己資金20%が必要な根拠付けの説明が不充分。生業資金の金利は3%。大阪府保障協会の小規模貸付でも金利は1、67%。低所得者向けの制度として、借りられるような条件整備をもっとして欲しい。
【当局】 国の制度で全国一律のもの。生業資金は事業の開始や拡充が目的。そのため自己資金の保有は必要。
【大生連】 直近の貸付件数と貸付総額、貸付限度額を教えて欲しい。

貸付件数と総額

【当局】 生業資金は、低所得者世帯・生活保護世帯は280万円以内、障害者世帯は460万円以内。小口生活資金の限度額は10万円以内。
【門真】 小口生活資金の貸付で書類がそろい金曜日に申請に行ったが、担当の職員が休みだからと月曜日まで机の上に放置された。緊急に必要で借りにいったのに1週間以上かかる。緊急性がない。府民の生活の厳しさを理解しているのか。
【当局】 受付から振込みまで概ね10日程度で運用している。担当がいないといって貸付が遅れるのは問題だ。事実であれば指導する。

問題提起と要望

生活福祉資金については、①金利3%の引き下げ、②自己資金20%の撤廃、③居住3ヶ月条項の撤廃を。小口生活資金については、貸付理由の拡大を強く要望する。ひきつづき交渉にも応じて欲しい。(当局は了承)

交渉のやりとり

◆生活保護について   《「私の要求書」を読んでの感想》

【北山課長補佐】 前回の交渉で参加者からの思いを聞かせてもらい、162名分のアンケートに目を通した。食費や文化教養費、衣服費等をやりくりし、節約していることがわかった。生活事態を踏まえた保護基準になるよう国に伝えていきたい。ケースワーカーや民生委員などに対する意見も様々あり、改善すべき点は改善していくように努力していきたい。

前回からのつみ残しの回答

◆移送費(病院への通院費)について

○柏原の件についての回答
【当局】 福祉事務所の考えは、通院費の支給は具体ケースで判断しすべてを支給しないという方針ではない。出された実態の場合、本人の希望で他市の病院へ通院することになったため必要最低限の移送費は市が判断した柏原市民病院までの通院費で良いものと考えるので、支給していない。

○吹田の件についての回答
【当局】 一切認めないという方針ではない。近隣の医療機関への通院を勧めている。精神疾患については医師との信頼関係もあり遠方でも認めている。「よっぽど悪くないとでない」とはタクシー代のことではないかと思う。タクシーの場合は特別の事情のある場合に支給している。
【大生連】 近隣の病院以外の本人の希望する病院への移送費は支給されないのか。病院を選択する権利はないのか。医療券を発行し通院を認めているのであれば、移送費も支給すべきだ。必要最低限とは通院している病院への必要最低限の交通費ではないのか。堺市でも精神障害で通院している病院に心療内科がないからと移送費を支給していない事例がある。
【摂津】 近くに病院があるのになぜ遠くへ行くのかと言われた。近くの病院へはこれまでにすでに診察してもらったがよくならないので別の病院へ通っている。本人に選ぶ権利はないのか。
【当局】 医療扶助の実施は法に定められており「要保護者の希望を参考にすること」となっており、選択権は実施機関の権限。
【大生連】 病院の選択の問題ではない。通院を認め、すでに医療券も発行しているのに、なぜ移送費が支給されないのか。
【当局】 保護手帳では最小の実費となっている。
【大生連】 手帳には病院までの移送費は支給すると書いてある。
【大生連】 厚生労働省にも問い合わせ、府として判断した見解を後日、大生連まで回答して。
【当局】 わかりました。

◆申請権の侵害について(寝屋川の件)

【当局】 担当のケースワーカーではなく別のケースワーカーが対応したことで、申請前に検診命令を出したのは事実。この対応は不備があった。検診命令の先渡しが常態化しているのではないかと尋ねるとそれはしていないとの回答だった。
【大生連】 不備があったという市の回答に対する府の見解を教えて。
【当局】 申請前の検診命令を発する根拠はないので、是正を求めた。

◆法定期限について(寝屋川の件)

【当局】 保護の決定が遅れたことは申し訳なく思う。本人へは後日説明し、決定通知書を再発行する旨伝えたが、理由がわかればよいとのことであったが、後日、本人からの申し出もあり改めて理由を付記した決定通知書を出すよう準備している。
【大生連】 法律が守られていない現状がある。決定通知の再発行も本人の意思を確認して発行するのではなく、通知しなければならないと法律で明記されている。
【大生連】 平成18年12月、平成19年1月、2月の3ヶ月で78件決定したうち29件が14日を超えての決定になっている。遅延率は37.1%。監査のときに遅延状況も調べるのか。
【当局】 監査時に事前に3ヶ月の遅延状況を出してもらい、先日の監査でも市へも指摘したところ。
【太田議員(寝屋川市の)】 現場の課長はそんなことは言っていなかった。監査に入ったが指摘もされなかったと言っている。
【大生連】 遅延の理由も問題だ。①ケースワーカーが休んでいた②扶養届の提出が遅れている③府民共済がみつかったなど、これは理由にならない。些細なことで決定が遅れている。
【当局】 扶養届は決定の絶対的要件ではなく、遅延の理由に挙げることはどうかと思う。

◆申請時の同席について(寝屋川の件)

【当局】 原則として認めていないが、本人の意思が確認できれば同席を認めている。
【大生連】 原則認めないというのはどの法律に基づいて行っているのか。
【当局】 基本的に認めているとの回答だったため、その確認を行った。ただ、ケースワーカーによって対応にバラつきがあるのは問題があるので末端まで浸透させるようすると反省していた。
【太田議員】 府へ回答していることと、市が行っていることはまったく違う。同席はまったく認めない。
(その後、寝屋川市は同席を認める)

◆指導指示について(柏原の件)

【当局】 職種を限定して求職活動をしていたために特定せず求職活動するように11月26日に指導指示書を出しているが、現在は職種も限定せず、休日を除くほぼ毎日、求職活動を行っていることがわかった。指示書の内容は2月29日に保護を廃止する意味合いで書かれたものではない。27条の2、3項・62条4項も記載するよう指導した。
【本人】 このような指導指示文書は脅しと一緒だ。市は謝罪の一言もないのか。心身ともにまいっている。
【大生連】 「指導」すべきだ。

◆貝塚市での問題について

○ケース記録の改ざんについて
【当局】 不適切な対応だった。
【本人】 書類を書いてとケースワーカーに言ったことは一度もない。ケース記録の開示請求をし、見てみると「食事はすべて外食」「移動はいつもタクシー」と書かれていたが事実無根である。

○「生活と健康を守る会とつきあうな」との発言について
【当局】 わからないことがあればまず福祉事務所に聞いて欲しいという意味での発言だった。
【大生連】 そんなこととは違う。抗議していく。

○違法な転居「指導」について
【当局】 本人の意思が確認できたと思い申し込みを行った。
【大生連】 基準内家賃での転居指導はありえるのか。自立の助長とは何なのか教えて欲しい。
【当局】 27条に基づく指導指示はない。母子世帯等で収入が多く、家賃が下がれば保護の廃止が可能な場合、府営住宅などの低家賃のところへ転居を提案することはありうる。そうすれば生活保護から自立もできる。
【大生連】 おかしいではないか。なぜ、一生懸命働いている人が不利益処分を受けなければいけないのか。転居指導は基準を超えている場合で、基準内家賃で本人が望めば何も言われることはない。
【当局】 基準内家賃なら本人の意思は尊重する。
【大生連】 貝塚市には独自の法律があるのか、保護の相談にきた市民に月6万円あれば生活できると追い返している。生活保護を利用している人にも食費は1万円いくらまで、医療費いくら、国民健康保険料2万円など明細まで出して指導している。府営住宅への転居指導も行うと課長は明言している。
【大生連】 貝塚市は意図的に他市の府営住宅へ転居指導を行っている。府へも精神障害者や生活保護世帯を三ツ松団地に入居させないよう随時募集から一般募集にするよう申し入れを行っている。府の担当部局が大生連との交渉で明言している。
【大生連】 本人の同意を得て転居したような回答だったが、会と市の交渉時には課長は誤りを認めて謝罪している。
【当局】 新聞報道も見た。府としては福祉事務所の運営実施が適正に行われるよう努力していく。
【大生連】 徹底的に「指導」すべきだ。

◆その他の事例

門真 守口市では、扶養届の用紙に資産の状況や給与明細などの添付書類が必要とこと細かに書かれている。保護の相談も通路で行いプライバシーの侵害になっている。監査等でも確認してほしい。
【当局】 扶養届の様式の定めはなく、扶養の程度によって様式が変わるわけではない。自治体の判断にまかせている。
【大生連】 そこまで事細かに書かなければいけないのか。

前回つみのこし問題の当局の回答に対して

【大生連】 なぜ交渉でだされた問題が是正されないのか。法律に基づいて行えば問題は起こらない。
【当局】 人権侵害については、相談や辞退届けなどの問題が全国で起こっている。府としても適正に行うように1人1人のケースワーカーに徹底しているところ。査察指導員や福祉事務所の管理体制に指導徹底の不十分さがある。
【大生連】 厚生労働省も人権侵害が常態化していることについて謝罪している。
【大生連】 法律違反を犯しているところは生活保護の部局以外ほとんどない。自立イコール打切りではない。生活保護の運用と解釈
【大生連】 大生連との交渉でだされたことが各市で改善されていない。監査のやり方がおかしいのではないか。
【大生連】 出された実態について今回の府の回答は、市の見解を言っただけで大阪府としてどのような指導を行っていくのかがまったくなかった。事実ともまったく違う。寝屋川市や貝塚市へは再度調査し大生連まで回答して欲しい。
【当局】 わかりました。

【交野】 一時金廃止の理由が「財政がない」。これが理由になるのか。たてなおしは行政の責任だ。生活保護を受給して4年になる。年金が51400円。保護費とあわせて12万円で生活している。家賃は42000円。残り8万円ほどで生活している。保護を受けている人の日常の暮らし 足りない分を補てんするために一時金は必要。火災・地震保険が2年に1回更新で15000円必要。この費用を捻出するため食費を削っている。一時金を当てにしている。復活して欲しい。
【貝塚】 08年1月から物価が高騰し何もかも上がる。お米も4月から上がると聞いた。一時金を復活して欲しい。
【岸和田】 一時金は大事。7階に住んでおりとても寒い。散髪も自分でしている。ささやかな一時金もち代として出して欲しい。
【八尾・柏原】 一時金の廃止に誰も納得していない。食事を2回に減らしたという回数だけではなく、食事の内容もみてほしい。今の生活保護費でどのようなものが食べられるのか。
【当局】 平成17年に府議会の承認も経て廃止された。生活保護基準が一般勤労世帯消費水準の七割に到達している中、復活はむずかしい。
【大生連】 私たちは復活に向けてたたかう。

問題提起

「私の要求書」でも訴えているように、一時金が復活したら孫にお年玉や子どもに新しい下着が買える。お風呂の回数も増やせる。毎月の保護費では足りず、人間連らしい生活ができない。これを改善していくことは、地方自治体としての任務。国に任せるだけではなく、本来の地方自治に立ち戻って考えて欲しいと強く要望しました。