2007.11.29
大阪府生活保護交渉
交渉1日目 14単組・100名が参加
2007年11月29日、大阪府健康福祉部・社会援護課と1回目の交渉を行いました。大生連14単組100名が参加、8単組145名分の『私の要求書』を提出しました。当局は、北山総括課長補佐、他10名が出席しました。
夏期・年末一時金を求める生活保護者の発言
一時金や老齢・母子加算を元に戻すことなどを求め、保護費の減額でいっそう苦しくなる生活実態を訴えました。
- お風呂は10日に一度、番台の人に気を使う。
- 食事は2食か1食に減らす。
- ストーブがほしい。
- 暖房をつけない。衣類は買わず、安いものを重ね着する。
- 冷蔵庫を買えない。
- 子どもの古着を直して自分用にする。
- 孫が結婚するがお祝いを渡せない。
- 友人づきあいに気を使う。
- 自治会費を払えない。
- 墓参りができない。
- 香典を5千円出したために、袋ラーメン一つで3日過ごした。お世話になった方とのつき合いを大切にしたいが、自分をごまかし生きるのがつらい。
生活実態、当局の感想
一時金復活は、財政的に困難。老齢・母子加算は、国の生活保護のありかた検討委員会で検討され、一般世帯と比較し需要がないとされた。生活実態に合う基準にするよう国に要望する。
交渉のやり取り
◆申請権の侵害
【枚方・交野】 (寝屋川の事例)、54歳男性。高血圧、足が悪く働けない。申請書を渡さず、健診命令をした。
【当局】 適正ではない。是正する。
◆法定期限
【枚方・交野】 (寝屋川の事例)当局は、14日以内に決定しなかった。遅れた理由を①担当ケースワーカーが休んでいた②共済がみつかった(申請から2週間後)③医師の意見書が出るのが遅かった(申請から7日後)と説明したが、共済は2週間後に見つかっており、遅れた理由にならない。30日後に、保護決定されたが、理由の記載がなかった。法定期限をまもること。
【当局】 保護決定は14日以内が基本。法定期限14日を超える場合、理由を記載すべき。
【大生連】 指導を是正し、次回回答すること。
◆指導・指示
【貝塚】 40代男性、家計簿をつけるよう指導され、1円からレシートを付けるよう言われた。内容もすべて見られプライバシーがない。
【当局】 家計簿指導はケースワーカーに頼んでいる。費目のアドバイスは出来るが、「1円からのレシートをつけろ」という指導はいきすぎだ。
【柏原】 就労活動を毎月報告していたが、保護を廃止するとの通知を受けた。
【大生連】 通知には、27条の2項、3項、62条の4項など、被保護者の権利を記した条項を省いている。教示義務違反だ。
【当局】 教示するよう福祉事務所を指導する。
【堺市】 第85条を明記した指導指示書がだされている。罰則規定が書いており、不安になる被保護者もいる。やめること。
【当局】 不正受給の適正化のため記載している。意見があったことは、福祉事務所に伝える。
第85条(罰則) 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治40年法律第45号)に正条があるときは、刑法による。
◆稼動能力
【大生連】 稼働能力を活用していないことが、却下の理由になるか。
【当局】 却下もあり得る。法そのものに明記されていないが、府局長通知に、「要保護者が自らの資産、能力、その他扶養など就労資源の活用を怠り、忌避していると見受けられるときは、助言指導を行い、拒否した場合は要件を欠くとして却下する」とある。急迫の場合はその限りでない。
【大生連】 93年の府局長通知について述べているが、通知より法が上だ。稼働能力の不活用のみによる却下は、法律に規定されていない。最低生活を維持するため、第1条にもとづき運用すべき。
【当局】 稼動能力があっても、保護をしないと生活出来ない場合は、例外的に保護する。
【大生連】 例外ではない。当局の回答は誤りだ。申請者は、稼働能力があっても、仕事もお金もなく、困窮して申請に来ている。人命を考慮し誠実に対応すべきだ。
◆保護費の減額とケース記録について
【貝塚】 70代男性、情報開示請求をしたケース記録、171枚中、正しいのは2ヶ所だけだった。何も知らず捺印した書類に、他人の筆跡で記入され、住宅家賃のうち、1万2000円を援助されていることになっていた。
【貝塚】 80代女性、平成18年8月から保護開始。面接では息子は、「夕食の副食を2日に1回、風呂を週2~3回援助」すると言ったのに、ケース記録では「主食含めた夕食、月28日の入浴援助」と、文面が変えられた。さらに『府生活保護マニュアル』から算出された援助分の金額(約2万円)が毎月天引きされていた。
【大生連】 『府の保護マニュアル』は廃止したのではないか。使用してはいけないはずだ。
【当局】 処分・指導の根拠にするのは誤り。参考に留めるよう指導する。
【貝塚】 平成18年8月の申請時から遡及を求める。
【当局】 基本は、遡及は国規定で2ヶ月前までとなっているが、事実確認をする。
【貝塚】 ケース記録は公文書か。偽造については告訴できるか。
【当局】 ケース記録は公文書。偽った内容を書いたことについて、刑事訴訟法の規定があると考える。
【当局】 ケース記録が事実と違うことについて、府は確認できていない。調査する。
◆思想信条の自由
【貝塚】 ケースワーカーに「○○さん(貝塚生健会事務局長)とは付き合うな。」と言われた。
【当局】 思想信条は自由。あってはならない。指導する。
◆違法な転居指導
【貝塚】 72歳女性、受理後すぐに府営住宅に転居するよう転居指導を受けた。「住宅の申し込みをしないと、保護廃止もありえる」と言われた。
【貝塚】 ケースワーカーに「府営住宅募集に引っ越すこと、拒否すれば打ち切る」と指導された。拒否したら、ケースワーカーは妹の所に押しかけて説得を依頼した。近所の方も証言している。仕方なく申し込み、当選したので引っ越した。
◆保護費の不支給
【貝塚】 7月の申請時に手持ち金として持っていた2万3千円が、8月の保護費から天引きされていた。9月分の保護費が支給されないので、担当ケースワーカーに電話すると、「9月はなし、10月から支給」と言った。抗議して支給させた。
【貝塚】 申請月にだけ住宅扶助が支給されたが、以降6ヶ月、遡及を求めるまで支給されなかった。
◆移送費(病院の通院費)と交通費支給
【大生連】 大多数は支給について知らない。文書での通知やケースワーカーへの指導で周知徹底すること。
【吹田】 「通院費は、よっぽど悪くないと出ない」と言われた。
【当局】 必要最低限の実費が支給されるべき。ケースワーカーが支給できないといった趣旨がわからない。調査する。
【柏原】 父親が治療のため、遠くまで通院している。近くに治療できる病院がない。通院費は出ないといわれた。
【当局】 当時の病状が分からない。通院費が出ない根拠も含めて調査する。
【摂津】 糖尿病で足が腫れ、目も悪くなっている。現在電車で通院、いずれタクシーを利用したい。可能か。
【当局】 歩行困難な方に、タクシーでの通院を認めているケースもある。タクシーを利用する場合は、医師の移送手段「要否意見書」が必要。
【摂津】 タクシー代は高額で保護費から先払いは大変。考慮してほしい。
【当局】 移送費は後払いが基本。先払いはできない。
【貝塚】 交通手段が少なく、週一回の通院で月1万円ほどかかる。ケースワーカーに通院費の支給は、自治体の要否判定で決めると言われた。
【当局】 必要最低限の実費を支給する。移送費は申請主義、請求がないと支給しない。まず請求してほしい。
◆地上波デジタル放送への対策
【八尾・柏原】 地上波デジタル放送のチューナー代は保護費で負担してほしい。災害などの情報や唯一の娯楽であるテレビが必要だ。
【当局】 総務省は、生活保護世帯を含む低所得者向けの対策を検討している。府としても問題意識はある。
次回交渉で要望
【堺市】 お風呂のリースが来年で切れる。ケースワーカーに保護費では出ないと言われた。
【東大阪】 繊維筋痛症で障害者手帳をもっている。ヘルパーを利用。入浴援助のために広いお風呂が必要だが、単身4万2千円の家賃では見つからない。考慮してほしい。