行政交渉

2015.12.25

大阪府生活保護交渉

貸付について

【守 口】 保護利用中、社協で借りた90万円を4000円ずつ返している。延滞金もついた。

【大阪府】 徴収猶予も可能。状況がつかめないので即答しかねるが、運営している府社会福祉協議会で確認してほしい。

【大生連】 保護利用中は最低生活費を割るので、返済は執行停止になるのではないか。57条「被保護者は、保護金品を標準として租税その他の公課を課せられない」と公課の禁止をうたっている。貸付と保護課が連携して最低生活の保障のために対応してほしい。

平成24年3月21日付で出された大阪府社会援護課長名の通知
保護開始時における地方税、国民健康保険料、介護保険料等公租公課の徴収猶予等制度の周知について
「保護開始以前の地方税、国民健康保険料、介護保険料等公租公課の滞納に 対しては、それぞれに徴収を猶予する等の制度があることから、保護の開始 時においては、これらの制度を被保護者に周知し、制度利用について適切に
助言していただくよう、お願いいたします。」

生活資金貸付の資料

資金 H25年度 H26年度
件数 金額 件数 金額
技 能 習 得 資 金 14 8,359,200 12 6,392,200
生 活 資 金 4 907,200 3 1,941,000
転 宅 資 金 3 564,600 3 453,500
修 学 資 金 586 428,108,900 498 351,442,600
修 業 資 金 2 1,632,000 6 2,603,000
就 学 支 度 資 金 84 30,177,800 115 31,598,060
693 469,749,700 637 394,430,360

【大生連】 生活資金貸付制度を知らない人が多い。広報はどうしているのか。

【大阪府】 大阪府や社会福祉協議会のホームページ、社会福祉協議会の広報紙に掲載しており、パンフレットも作成している。生活困窮者制度との連携で生活困窮者自立支援相談支援機関へ相談に来られた方に、必要に応じて生活福祉資金の紹介をしている。民生委員との連携もしている。

アンケートの感想について

大阪府は大生連が提出した「生活保護の実態」アンケートを保護世帯の家族数、年齢、住まいの状況などを分析され、保護世帯の意見について詳しく報告された。
【大阪府】 三回目の基準引き下げでの保護費の減額による影響の訴えが多かった。その中でやりくりをしている様子が伺われた。生活の工夫もされているが、前向きな意見に接することもできた。府としては今後とも生活保護制度の適正な運営につとめて参りたい。

資産申告書についてのやりとり

【大生連】 前回、資産申告を提出しなければ最終的には停・廃止もあるという回答だったが、その考えは変わっていないか。

【大阪府】 前回そのような回答をした。最終的にはそうなるということ。その考えは変ってはいないが、「あってほしくない」と思う。実施機関から資産申告の対応について相談は受けていない。

【大生連】 生活保護の精神を貫いてほしい。厚労省にも聞いたが、厚労省は27条で指導するが、その後のことについては実施機関の判断によるとの回答だった。資産申告書は強制ではないと言っている。私たちも、資産申告書は信頼関係でやるべきで、強制すべきではないと考える。毎年の資産申告の提出は必要なく、必要な時は同意書で調査したらよいと考える。むやみに保護の停止・廃止の言葉をだすなど先走りする実施機関も出て危険だ。

【大阪府】 停止・廃止を前面にした対応、一回で提出しなかったからといって即停止・廃止はすべきではない。国の通知についての認識は「強制ではない」ではない。どちらかと言えば強制である。「強制ではない」としたら、出さなくてもいいと多くの方は判断すると思う。

【大生連】 お互いの信頼関係のもとですすめていくべきではないか。28条では必要に応じてとなっているのに、なぜ画一的に提出をもとめるのか。そこが納得いかない。疑いの目でみると信頼関係はなくなる。

【大阪府】 強制ではないという言葉は無理やり出せということではない。出してくださいとお願いし、説得する、受給者から自発的に出していただくものと考える。ただ、こういう事務をするに当たり受給者に出していただかねばならないものとわれわれは受け止めている。


(生活上の義務)
第60条  被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。

(届出の義務)
第61条  被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。


資産申告についての会場からの意見

【大生連】 大阪市旭区の資産申告書の資料がついているが、提出期限や、すべての通帳を持参せよと書かれている。生活保護世帯との信頼関係の基本を根底からくずす文書であり、運用になっていないか。27条の指導・指示についても法律は必要最小限にとどめるとなっている。大阪府として国に撤回を求めてほしい。

【大生連】 四条畷では目にしていない。何の目的で徴取するのかが理解できない。

【大阪府】 保護を開始するときに、資産等について書類を提出している。これまではいったん保護が開始されると、資産の増減があった場合報告をもとめていた。しかし、開始時以降は調査していなかった。平成27年4月から国の実施要領の改訂に伴い、12ケ月に1回は資産申告をするように通知がされ、各世帯に文書が届いている。申請当初なかった資産、親族からの遺産、保険が入ったなどで資産に変動があることを想定した調査だ。

【大生連】 法61条には、資産に変動があった時に報告する旨が書かれているではないか。どこに1年に1回徴取すると書かれているか。

【大阪府】 現実に報告をしていない人がいるので、申告を求めるもの。

【大生連】 そういう資産が入れば、ふつう生活保護を止めるのではないか。いくらだったら資産というのか。基準はあるのか。

【大阪府】 資産は申告してもらうことになっている。申告してもらっていない資産があるかもしれないので調査する。大半の方はきちんと申告してもらっているが。

【大生連】 3回も引下げをしてきて、かつ保護者が不正受給をしているかのように疑いの目で見ている。やめてほしい。

【大阪府】 「その他生計の…」ここを根拠に家計簿をつけていただくとかで法60条を使われたと思うが、法60条を調査の根拠にしていることについては確認する。

【大生連】 11月に全生連が厚労省に聞き取りをしているが、「60条をふまえて」と答えている。その後、答弁不能となった。27条で指導指示と回答したが、停・廃止には触れていない。大阪府で初めて触れたので、私たちは驚いた。国は実施機関の判断だと回答をした。私たちは提出の最終判断は当事者だが、それについて制裁されるのは、いかがなものかと思う。多額の慰留金を残して亡くなった方や、目的のない貯金が13億(平成25年201自治体11840人)あったという会計検査院の指摘をうけたと聞いている。厚労省が保護世帯を疑っていることを自治体に押しつけた。だから、無理やりに徴取すべきではない。申請時にとっている同意書で調査すればいいことだ。使途目的が明確であれば保有を認められる預貯金を、収入認定されるのではないかと危惧している。やはり、保護世帯とケースワーカーの信頼関係が基本の運用をしてほしい。

【大阪府】 60条や会計検査院の報告で高額な預貯金がみつかったことなどをふまえて12ケ月に一回の資産申告となった。生活保護費は、最低生活費として支給されているもの。それをきりつめて、たくさんのお金を残されるということは、健康で文化的な生活ができていないことであり、本来の生活保護の目的とは違う。多額のお金が残っていれば、日頃の生活のために使ってくださいと指導するためにも調査を行う。

【大生連】 生保世帯にも基本的人権、幸福追求権利が保障されるべき。資産申告は国民に与えられた権利に踏み込む調査だ。多寡にもよるが貯金をしたいと考える人もいる。それはいけないことなのか。保護をうけていない世帯に資産を調べるか。保護世帯、税金を使ってるからといって一律に調べてもよいのか。大阪府は慎重に対応してほしい。

【大生連】 大阪市交渉をした。保護世帯に資産申告書が届いている。精神の方、高齢世帯ではこの申告書についての理解ができない現状があり、当局も援助の必要性は認識していた。大阪市は65歳以上のケースワーカーの配置が380対1。高齢者担当の訪問員が288対1。この体制では説明に回ることは無理。また、個人情報、情報管理の上からも、現場に通帳の提示などの仕事を押し付けていいのか。

【大阪府】 事務量がふえて大変と思う。4月から始まった制度であり、実施機関から話を聞いたうえで、改善点があれば国に言う。三福祉では出していない。躊躇している。府下的には足並みがそろっていない。4月から始まったものであり、出されていないからといって監査時に指摘はしていない。2~3年前に届け出の義務(収入申告、家族の変動などがあれば届け出なければならない)を国が言った。届け出の義務で「私ははっきり聞きました」という回答の周知徹底をしている。まず、これを府下的にすすめている。

【摂 津】 保護費と障害年金(療育手帳B1)の使途をきびしく調べられる。財布の中まで調べられる。(48歳)行き過ぎではないか。

【大生連】 理由も聞き、行き過ぎであれば府からも間違った対応の処理基準を示してほしい。

【大阪府】 頻繁に金を貸してくれと福祉事務所に来る場合に、「何に使っているの」と小遣い帳をつけてねと対応することはある。

四条畷の事案、高校生のアルバイトに伴う控除などについては現地で折衝しています。

過誤払いについて

【大阪府】 1年で(返還対象額)政令市を除く613件7,307万7389円。
(返還決定額)7,157万3348円。控除額は約105万円。  
過誤払のおもな内容は、年金などの増額や変更の申告をしたにもかかわらず、福祉事務所が今のままで認定をしていた。児童手当、児童扶養手当、介護保険料、母子加算などの変更、家賃額変更、収入申告の必要経費などの切り替えを福祉事務所がしていなかったためにおきた。

【大生連】 支給された保護費は使ってしまう。誤って払いすぎたから、63条にもとづき戻してくれと言われても、保護世帯はすでにお金はなく、最低生活費をわって返還している。枚方市では平成25年度に330件の過誤払があった。うち8割以上が行政のミスだ。市は謝罪をしたが、控除はせず全額返還を求めた。大野城市の判決を生かしてほしい。

<大野城市の判決 >
 大野城市で生活保護を受給していた原告Aさんは、年金が少なく、70歳を過ぎてから、膝を手術しなければならなくなって仕事ができなくなったため、生活保護を受給するようになりました。申請のとき、老齢年金と遺族年金を受給していることを申告して資料も提出していたのに、福祉事務所は遺族年金を見落としており、月々約1万4,000円多く保護費を支給してきました。Aさんは、保護費の金額に疑問を抱くこともなく、年金と保護費を、生活費として全て使い切って生活してきました。平成23年3月、過誤払いがあったとして福祉事務所長は全額(約29万円)を生活保護法63条に基づいて返還するよう求めました。判決は「福祉事務所が過誤払いをしたが、税金だからとにかく全額戻してもらう、という硬直した扱いは認められないことを認めています。」生活保護制度利用者は、最低限度の生活費の支給しか受けておらず、「過誤払いを返せ」といわれても、使ってしまったものは将来の最低生活費でしか返還できず、そうなると、相当な期間、最低生活を下回る生活を余儀なくされます。そのようなことは適当ではない」とした判決です。

【大生連】 過誤払を起こさないためにも支給明細をわかりやすいものにしてほしい。

会場から参加者のひと言

● 障害を抱えた子どもが終日家にいる。暖房費も多くかかる。暖房費支給は新規のみ出るのか。冬期加算についても1.3倍まで支給されるか 。

【大生府】 暖房器具については、27年10月施行で追加された。暖房器具の限度額は2万円の範囲内。要件は①保護開始時、もちあわせがない場合 ②長期入院・入所後した人で退院・退所後、居宅生活に移行する際、もちあわせがない場合 ③災害にあった場合 ④転居の場合で設備の相違がある場合。以上のいずれかの要件に該当し、かつ初めて到来する冬季加算が決定される月において、該当する人が対象になる。

【大生府】 冬季加算の1.3倍については障害の等級の重さではなく、在宅にいる頻度を考えている。10月23日付で実施機関にQ&Aを示している。申請を待たずに実施機関の判断で加算をつけていい。

● 介護保険料の支払いについて

【大生府】 基本的に代理納付をする。生活保護費が生活扶助費に満たない場合は(住宅扶助のみ支給されている場合など)、代理納付ができないので、普通徴収になる。

● 私の要求で、「旅行に行きたい」「魚釣りに行きたい。基準引き下げで行けなくなった。」 と、もろもろしたい事を書いている。大阪府が行政として夢や希望を叶える努力をしてほしい。実現の第一歩として夏・冬一時金の復活をのぞむ。

● 葬儀のための交通費を出してほしい。

【大生府】 被保護者が配偶者、三親等以内の血族もしくは2親等以内の姻族が危篤に陥っているため、そのもとに行く場合またはそれらの者の葬儀に参加する場合で実施機関がやむをえないと認めた時。移送費の額は、移送に必要な最小限度の額とする。判断は実施機関が行う。