行政交渉

2014.12.19

大阪府生活保護交渉

大生連あいさつ

本日、12月19日午前に大阪府下51人(大生連31人)が生活保護基準引き下げ違憲の提訴を行った。憲法25条の「健康で文化的な生活とは何か」を問うていく。この間の大生連のアンケートでも一番減っているのは文化教養費。生活保護利用していたら、新聞も読めないのか。映画もいけないのか。旅行もいけないのか。ただ食べて、それで終わりか。それでは人間性も失われてしまうのではないか。また、厚労省が引き下げの基準に持ち出したCPIのでたらめさや安倍政権が上程しようとしている「生涯派遣の労働法制」でますます貧困化がすすむ。そういう中で、大阪府の果たす役割は大きい。実態、実例をお聞きいただき、交渉が実りあるものにしたい。

大阪府あいさつ

生活保護世帯数は約161万世帯で最多を更新。高齢者世帯が増加。高齢化が進むので、生保世帯が激減することは見込みにくい。私たちは雇用の拡大と賃金上昇を願いつつ、高齢者増の現実に向き合って適切な保護の実施に全力をあげなければならないと考えている。生活実態に関する声をお聞きし、生活保護行政の円滑な運営に努めていく。昨年8月と今年4月、生活保護の改正がされた。各市は国の基準に沿って保護費を決定した。国と市を相手取っての提訴と聞いているので、府はその調整役になると考える。来年4月には被保護者就労支援事業も施行実施される。詳細な情報は入っていないが、府内自治体に適切な助言に努めてまいる。国においては冬季加算、住宅扶助の見直しの動きもある。この動きにも注視をしていきたい。

基本回答

  • ●法定期限を厳守せよ
    [回答] 資産調査に日時を要するなど、特別な理由で14日を超える場合も考えられる。法の主旨を尊重し早期に要否を決定するよう周知していく。決定通知に理由を明記しなければならないと法に規定されている、周知していく。
  • 口頭申請は可能か
    [回答] 口頭申請については現行の運用を変えるものではない。
  • 同席について
    [回答] 申請者のプライバシーに留意する必要があるが、申請者本人が第三者に同席を求めた場合は、これを確認し、同席を認めるよう周知してまいる。
  • 一括同意書について
    [回答] 法第29条に基づく調査に係る平成15年4月1日より個々の世帯員から同意をえる様式に変更している。平成26年7月大阪府生活保護法施行細則の改正においても同様。この様式変更については府内実施機関に周知しているが、府以外は各実施機関で検討し定めることとなっている。

  • 助言指導について
    [回答] 厚生労働省通知第11の1において保護申請時の助言指導について定められており、要保護者が自らの資産、能力、他法他施策等の活用を怠り、忌避していると認められる場合、適切な助言指導を行うものとされている。また、平成18年3月30日付社援保発第0330001号厚生労働省社会援護局保護課長通知に示されている「生活保護行政を適正に運営するための手引き」においても示されている。なお、助言指導の中には、病気でないかたについては就労指導も含むものと考えられているが、①稼働能力の有無 ②活用の意思の有無 ③活用する場の有無により判断されることとする。稼働能力の判断においては、年齢や医学的な面からだけではなく、そのものの有している資産、生活歴、職歴等を客観的、総合的に勘案して行うことになっており、活用の意思の有無の評価については、真摯に求職活動を行っているかどうかをふまえて行うことにしているが、①求職活動の実施状況を具体的に把握したうえで、能力に応じた評価が必要で、今後とも一律に判断することなく、個別のケースについて、個々に判断するよう指導していく。
  • 扶養義務について
    [回答] 生活保護では、「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」と規定されております。このことから、保護の要否判定に際しては、扶養能力調査として、扶養義務者の方々にその職業、収入状況等をお聞かせいただき、金銭的な援助のみならず、精神的な援助の可能性についても照会させていただいている。住所を知られたくない場合は考慮出来ると考える。
  • 警察OBの配置、監視カメラやめよ
    [回答] 配置により不正受給に対する告訴等の手続きの円滑化、申請者等のうち、暴力団員と疑われるものの早期発見などの効果があるとされ、国において補助金として措置されたもの。各福祉事務所が義務付けておらず、各実施機関で検討するものと考えている。こども家庭センターでは警察OBの配置、監視カメラの設置はしていない。
  • 78条返還に伴う保護費からの天引きはしないこと
    [回答] 不正な手段により、保護を受けたもの等があるときは、保護費を支弁した実施機関は法78条規定に基づき、その費用を徴収することができる。保護費は差し押さえが禁止されていることから、保護費を全額支給したうえで、徴収すべき金額を分割して徴収するなどの方法で保護費から返還を求めているところです。しかし、費用徴収を行う時点で、費消しているケースが多く、費用徴収の実効性が低い疑いがあることから、法改正により、実施機関が被保護者に対して徴収債権を有している場合は、その徴収金について、本人からの申し出をうけ、生活に支障がないことを前提に保護費の徴収が可能となった。
  • 自動車の保有について
    [回答] 障害者が自動車により通勤する場合、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者等が自動車により通勤する場合、公共交通機関の利用が著しく困難な地域にある勤務先に自動車により通勤する場合、深夜業務等の業務に従事している者が自動車により通勤する場合には、保有が認められているところです。なお、障害者が自動車により通勤する場合を除き、世帯状況からみて、自動車による通勤がやむを得ないものであり、かつ、当該勤務が当該世帯の自立の助長に役立っていると認められること、当該地域の自動車の普及率を勘案して、自動車を保有しない低所得世帯との均衡を失しないものであること、自動車の処分価値が小さく、通勤に必要な範囲の自動車と認められるものであること、当該勤務に伴う収入が自動車の維持費を大きく上回ることなどの条件が示されています。
    また、障害者については通勤用の他にも、障害(児)者が通院、通所及び通学(以下「通院等」という) のために自動車を必要とする場合で、一定の要件に該当する場合には、自動車の保有を認めて差しつかえないとされています。
     なお、これらのいずれかの要件に該当しない場合であっても、その保有を認めることが真に必要であるとする特段の事情があるときは、その保有の容認につき厚生労働大臣に情報提供することとされています。125CC以下のオートバイ等については、その処分価値、おもな使途を確認したうえで、①最低生活維持のため活用されており、処分するより保有している方が生活維持及び自立助長に実効があがっていることの②一般世帯との均衡を失しないこと、③自賠責任意保険に加入していること④保険料を含む維持費の捻出が可能であることのすべての要件を満たすものは保有を認めて差し支えないとされている。
  • 閉庁時の医療の確保状況
    [回答] 休日夜間緊急医療証交付は、9機関ー豊中市、枚方市、八尾市、守口市、寝屋川市、柏原市、府の3こども家庭センター。保護受給者証が、4機関ー東大阪市、茨木市、門真市、交野市。保護決定通知証ー堺市、富田林市、阪南市の3機関。その他の福祉事務所では口頭による受診の申し出による。
  • ジェネリック医薬品
    [回答] 国全体でジェネリック医薬品の普及にとりくんでいる中、生活保護の医療扶助の一環として保護受給者の便益を損なわないように配慮しつつ、さらなる促進を取り組んでいる。この取り組みでは、処方医が一般名処方を行っている場合、または銘柄名処方であって後発医薬品への変更を不可としていない場合には、後発医薬品を原則として使用することとする。処方医が後発医薬品の変更不可としている場合は対象外としている。こうしたことから、使用促進について受給者に強制することはなく、使用を拒否した場合の罰則規定もない。が、理由なく後発医薬品を使用しない場合は服薬指導を含む健康管理指導の対象になることがあり、今般の法改正(平成26年1月)においても医師が医学的治験に基づき、後発医薬品を使用することができると認めたものについては、被保護者に対し、可能な限り、後発医薬品の使用を促すことにより、医療の給付を行うよう努めるものとされている。さらに、平成25年5月16日付社援保発第0516第1号保護課長通知においても、この取り組みは受給者の後発医薬品の使用を原則とするものであるが、当該受給者が医学的見地に基づき、医薬品の使用が必要と判断されるのに鑑み、この原則に違反していることを理由に保護の変更、停止、廃止を行いうるものと解釈してはならないとされている。各実施機関にこの主旨を周知する。
  • エアコンの設置について
    [回答] 生活保護基準については、一般国民の消費水準に即して、国において毎年改定が図られている。一時扶助費については 予想外の事故や生活の場の転換に際し最低生活の基盤となる物資の確保に多額の費用を必要とするため経済的最低活生活費の範囲内でのやりくりが困難である場合、臨時特別的な需要に対し補てんするものであり支給条件が定まっている。生活保護基準の改定等も含め生活保護制度の運営については国が責任を持って行うべきものであり、府独自の制度創設は困難。冷暖房器具等の日常生活費に必要なものについては本来経常的な生活費の範囲で計画的に購入することとされているのでご理解いただきたい。 平成26年7月1日からは、予期せぬ破損等、預貯金等で対応できず、健康管理や日常生活に著しい支障をきたす場合に限って、他法他施策等による貸付資金の利用を認め、収入として認定しないこととし、貸付資金の償還を生活費のやりくりによって賄うこととされた。なお、エアコン設置の貸付にかかる返済金に対する控除は貸付資金の返済を生活費のやりくりによって補うこととして認められることとなったため、廃止された。府としては、生活保護世帯の実態をふまえた改善となるよう国に要望してまいる。
  • 葬祭扶助の支給について
    [回答] 生活保護法において、死者に対する葬祭義務を何人かに課した規定は存在しないため、死者の親族・遺族に対しても葬祭を義務づけることはできません。したがって死者の親族・遺族から葬祭扶助の支給申請があった場合は、速やかに支給の要否を検討し、必要となれば、葬祭扶助を支給することとなります。
  • 単身者の被保護者が死亡した場合の家の片付け代やゴミ処理について
    [回答] 身内のいない単身者の被保護者が死亡した場合の家の片付け代やゴミ処理料金の支払いについては、生活保護法上、規定がないことから、行政の自主的な対応に任されていると考えられます。なお、府営住宅においては、管理者によって対応しております。
  • 高校生のアルバイト
    [回答] 就学中のアルバイト等については平成26年4月から基礎控除や未成年者控除に加えて、次のいずれにも該当し、当該被保護者からの自立更生計画を福祉事務所が、事前に承認している場合には、高等学校等卒業後の就労や早期の保護脱却に資する経費に充てられることを認められた場合において、これに要する必要最小限度の額を収入認定除外の取扱いとする。高等学校等卒業後の具体的な就労や早期の保護脱却に関する本人の希望や意思が明らかであり、また、生活態度等から学業に支障がないなど、特に自立助長に効果的であると認められること。
    使途が次のいずれかに該当し、かつ、当該経費の内容や金額が、具体的かつ明確になっていること。

    • 就労に資する技能を修得する経費や自動車運転免許費用(技能修得費の給付対象となる場合を除く)
    • 就労に資する資格を取得することが可能な専修学校、各種学校又は大学に就学するために必要な経費(事前に必要な入学料等に限る)
    • 就労や就学に伴って、直ちに転居の必要が見込まれる場合の転居に要する費用
    • 国若しくは地方公共団体により行われる貸付資金又は国若しくは地方公共団体の委託事業として行われる貸付資金の償還金については憂慮される。

参加者のひとこと

  • 消費税が8%になり、生活が苦しくなった。食費と公共料金を抑えている。半額になるのを待って買う。同じものばかり食べているので、胃がおかしくなり、何度か吐いた。ショックであり、情けなかった。家族が3人亡くなり、法事の費用のねん出が困難。お寺さんにお布施をあげることができず申し訳なかった。3回目の保護基準の引き下げ、そして消費税10%になったらどうなるかと不安だ。保護基準をあげ、増税はやめてほしい。
  • 物価が上がっているのに、なぜ保護費を下げるのか。今でさえ、見切り品で過ごしている。弱い者いじめをしないでください。
  • 基準引き下げは違憲であると提訴した。現在の生活保護の支給額が憲法に違反するという判決が出るように、協力し合って頑張りたい。

【大阪府】 基準の引き下げにより生活が苦しいとのお話をお聞きした。生活保護は国で基準が定められた制度。府として気持ちはわかりますが、国で検証された上で実施されるべきと考える。

実態について

マンション更新料

【摂 津】 (茨木に居住)マンションの更新料と火災保険の件、働いているのだから貯めて支払うように言われ、支給されていない。
【大阪府】 必要やむをえない場合は支給できる。

転居費用

【門 真】 団地建て替えで、転居費用が176,000円かかる。他市への転居が認められた。見積もりをしてもらったら、21万円かかると言われた。差額は出るのか。
【大阪府】 引っ越しが認められる状況であれば、差額は出るはず。三社見積もりをして最低限の実費が支給される。
【門 真】 網戸をつけるのに、三社の見積もりを求められたが、三社見つけることが困難。三社見積もりは必要か。
【門 真】 ボーナスが出ないのに、会社の証明は必要か。
【門 真】 70代の方が脳梗塞初期で、周りの方に迷惑をかけまいとリハビリに通っているのにケースワーカーから通院回数が多いと言われた。

窓口の対応について

【寝屋川】 5歳7歳の子どものいる33歳の母(パート収入5~6万円)からの相談。家賃7万7千円、ローンの残っている車を保有。8月、保護課に行ったら、面接相談員が「金を貸す制度がある。貸付に相談に行くように」と言われた。生活つなぎ資金20万円を借りた。11月には返済をせまられる状況になり、会に相談があった。最初から保護の申請を受け付けてくれたら、借金をしなくて済んだのに。対応が間違っている。
【大阪府】 申請の意思を示したのに、貸付に誘導することは問題。しかし保護を申請する意思がその時なく、貸付のことを聞いたのであれば、貸付制度につなげたのかも。意図的とは私は受け取らないが、貸付で生活ができるのかどうか、窮迫状態かどうかなどは把握する必要はある。
【大生連】 岸和田裁判では、生活ができないと窓口に相談に来た人の対応についても判決で述べている。「生活保護の実施機関の義務として、窓口に相談に来る人は真に生活に困窮して 正しい知識を有していないため、第三者の援助がなければ保護の開始申請ができない者も多いのであるから、保護の実施機関としては、そのような者が対象から漏れることのないよう…」と。窓口の面接員が、パート収入が5、6万円しかない母子世帯の生活を良く聞いたうえで生活保護制度につなげるべきだと考える。不十分な対応だったと寝屋川市に指摘してほしい。
【大阪府】 監査の重点的課題として「面接」については指導したい。聞き取りを忘れてはいけない様式も国で定められている。ローンがあるから保護はダメですと言ったことがないよう指導したい。

同意書について

【枚 方】 同意書の徴収について、枚方は任意ではなく強制だといっている。説明をしないうちに、署名を求めている。求めに応じ枚方市は説明会をひらく。申し出書が事前に徴収されるのは正しいか。府の見解を聞きたい。

【大生連】 資産調査については同意するが、78条77条の文言、支出状況、健康状態については同意しないので、傍線を引いて、あるいは削除して提出をしている自治体がある。それは有効か。

【大阪府】 有効か否かは即答できない。同意書の提出は保護の実施に当たって、要否判定に必要なものだ。この同意書がなければ銀行などへの調査ができない。様式は各自治体が議会にかけて条例等で定めたものだ。

【大阪府】 削除はダメだと思うが国に確認する。

【大生連】 先日、厚労省交渉で、削除したことで不利益を被ることがあるかと聞いたら、「それはありません」と回答された。しかし、提出してほしいと補足もされたが。

【大生連】 厚労省に確認したところ、任意だと回答した。削除するか否かは実施機関が決めることだと。

【大阪府】 次回に回答する。

一時金の復活を要望

【大生連】 一時金を復活してほしい。

【大生連】 生活保護基準の引き下げの根拠である消費者物価指数について回答を求める。

通院移送費について

【枚 方】 ローカルルールを作成し、生活費に食い込まなければ移送費は支給しないと。国の通知通りに運用するよう各実施機関を調査し指導してほしい。消費税が増え、保護費が引き下げられた中で、通院費の負担はさらに大きくなった。タクシー代について「這っていくほどでなければ出せない」と言われた。

【八 尾】 こどもの上司なども葬儀に参加する。人間の尊厳が守れる葬祭扶助に金額をひきあげてほしい。国に要望してほしい。府独自でもできないのか。

【枚 方】 ひとり暮らし、高齢者がふえる保護世帯によりそったケースワークを。そのためには体制をふやし、専門職を配置して。府は監査で指導してほしい。

【大生連】 三回目の基準も引き下げられようとしている。国がやることだからというのではなく、保護利用者の生活実態を国にあげ、中止の意見を上げてほしい。

【大阪府】 実施要領の改正意見を上げる機会は府にも実施機関にもあるので、手順を踏まえて検討したい。

【大生連】 公害の総量規制や、高齢者の医療費助成など自治体が国を動かし、住民の生活を守ってきた。大阪府もそういった歴史をふまえて、住民を守るために自治をすすめてほしい。