行政交渉

2013.01.10

大阪府生活保護交渉

1月10日、大阪府庁にて大阪府社会援護課と2日目の交渉を行いました。当局は松本課長補佐他7名が対応。大生連は14単組53人が参加し、1単組3名分(追加分)の私の要求アンケートを提出しました。

私の要求、ひとことを読んでの感想

【大阪府松本課長補佐】 単身、高齢者の方の回答が多くをしめており、様々に節約しながらご苦労されていることがわかった。大阪府としては、毎年、夏期加算の創設を求めて国へ要望している。ひきつづき行いたい。夏期・歳末の一時金については府の財政状況が厳しい中で支給することは困難。生活保護を利用し感謝されている方がいるのと同時に、肩身の狭い思いや、いわれのないバッシングに心を痛めておられることがわかった。CWの対応については、研修等で改善できる点は行っていきたい。国では生活保護制度の見直しや基準の検討などもされており、府としても注視していきたいと考えている。

貸与について

■小口生活資金について

【大生連】 貸付の決定を迅速に行うとのことだが、1ヶ月以上かかっている。また、居住3ヶ月条項は何故はずせないのか理由を聞かせてほしい。

【大阪府】 基本的には10日~2週間程度で審査を行っている。3ヶ月条項については、借受をしてすぐに転居してしまうようなことがあってはならないため、適正な運用のために堅持していきたい。
【大生連】 民生委員ではなく、直接社協で貸付を行ってほしい。
【大阪府】 窓口は社協だが、民生委員の意見書が必要。
【大生連】 貸付件数、貸付金額、返済未納になっているパーセンテージ、その理由の過去5年分の資料がほしい。
【大阪府】 了解。

■エアコン設置のための貸付について

【大生連】 生活保護世帯へエアコン設置の貸付が利用できるようになったが、生活保護以外の収入がない場合には利用できない。生活保護世帯の中で差別をうんでいる。貸付が利用できるよう改善してほしい。
【大阪府】 生活保護の実施要綱に基づき行っている。
【大生連】 保護費以外の収入のない人はどうすればよいのか。東京都では給付制度をつくるなど独自の施策を行っている。貸付できないのであれば当面、大阪府独自でも施策を考えるべきだ。
【大阪府】 国が責任持って行うものと考える。府独自の施策は困難。日常的に必要なものは月々の保護費を貯めて対応してほしい。
【大生連】 どうすれば保護費が貯められるのか。灯油も高く冬季加算では18リッターを2つも買えない。大阪府として独自の施策を考えてほしい。

前回からのつみのこし

■寝屋川市の事例

【寝屋川】 10月17日に申請したが、1ヶ月以上たっても保護決定の連絡がない。11月16日に寝屋川市と会との交渉の時に問い合わせると次の日に決定がされた。しかし、決定通知書には30日以上たった場合、理由を示すべきだがそれが書かれていなかった。

【大阪府】 保護の開始決定通知は11月19日に本人に渡し、理由を付記していなかったことは市も認めた。決定を早くすることと理由を付記するようにすることについては市へも伝えた。

【大生連】 再度きちんと指導してほしい。

■泉大津市の事例

63条の変換について

【泉大津】 63条の返還について聞きたい。借金返済の過払いでお金が返ってくることになったが、すべてを返還するように言われた。自立のために必要な費用については控除が認められるのではないのか。また、返還の際、金額が多かったので福祉事務所に振り込むことになったが、CWが銀行の窓口までついてきて、振り込まれた金額と同じかを確認している。

【大阪府】 課長に聞き取りを行った。CWとの話し合いの中で返還については本人も納得し決めたことで、自立更生については相談もなかったとのことだった。

【泉大津】 全額返還するか、しないなら保護を廃止するしか方法がないと言われた。保護を廃止した場合は、次回再申請しても保護を受けるのは難しいかもしれないと言われ、やむなく全額返還するしかなかった。自立更生については何も教えてくれなかった。

【大阪府】 保護を再開するのは難しいというような対応は誤り。CWによって対応が違うということではなく、一定のレベルを保つため、制度の熟知が必要と考えている。府として努力もしたい。また、銀行窓口にまでついていくというのは、信頼関係の中で本人にしてもらうことであって、本来すべきではなく、不必要なこと。

【大生連】 泉大津市とも交渉する。府からも指導して欲しい。


生活保護法(費用返還義務)第63条

被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。


■吹田市の事例

【摂 津】 以前、心臓の手術をしたことがある済生会吹田病院へ診察にいくと、医師が「ここは救急病院で、医師の紹介状がないとだめ」と診察してもらえなかった。CWに問い合わせると、「それは困りましたね」と言うだけで「違うところを探せば医療券を出す」と言った。済生会吹田病院は無料低額診療も行っている病院で、CWとして生活保護世帯が診療拒否されているのに、病院に対し何も対応しないことと、無料低額診療を行っている病院が診療拒否することもおかしい。府としての考えを聞きたい。

【大阪府】 市と病院の両方へ確認を行った。済生会については病院の設立主旨にも関わることなので、全体の事務局に口頭で申入れを行った。CWには通りいっぺんのケースワークではなく、これまでの病歴などもあるので、本人の状態にあった対応をするように伝えた。

■自動車保有要件の緩和について

【大生連】 真に必要な事情があるときは保有の容認について厚生労働大臣に情報提供することとされているが、各市町村の福祉事務所や直轄の福祉事務所から府に情報が上がっているのか、それに基づき厚生労働大臣に情報提供しているのか事例や件数の資料がほしい。

【大阪府】 厚労省への情報提供について、最近10年間を調べたが1件もなかった。市町村からの問い合わせがあるが、その時は要件に合うかどうかで判断するように助言している。
現在の要件だけでは不足と認識している。一方で車はゼイタク品との認識や大都市については車自体が必要なのかとの認識があるのも確か。枚方の裁判の動向なども注視していきたい。

その他のやりとり

■扶養義務調査について

【枚 方】 枚方市では扶養義務者ではない人にも送っており、当人同士のトラブルにも発展しており、これは正しいことなのか。
【大阪府】 適切ではなく誤り。ただ、扶養が見込める場合などケースバイケース。

■一時扶助の家具什器費支給について

【門真守口】 門真市は家具什器費の支給項目に電子レンジを認めてくれない。フライパンの蓋やテーブルも必要性が認められないと支給されなかった。ビールケースに板を置いてテーブルの代わりにしている。近隣の市ではすべて認められているが、門真市は、電子レンジは歩けないような場合でないと必要性が認められないと言っている。市とも交渉し、市は府へ確認を行ったが実施機関で判断をといわれた。市も府として基準を示してほしいといっている。

【大阪府】 電子レンジは支給対象項目に入るが、一律に認めるということではなく必要性や緊急性が認められる場合に支給される。一律に電子レンジがだめというのは不適切な判断。

【大生連】 ビールケースに板を置いてもテーブルの代わりはなるが、それがはたして人間らしい生活といえるのか。その人にとって最低生活を維持するための人間らしい生活ができるかどうかで必要性を判断しなければいけない。

生活保護制度の改善を求める私のひとこと

70歳になれば減額、これ以上どこを節約すればいいのかわからない

  • 70歳になれば老齢加算が出ると思い楽しみにしていたが廃止になり、その上3760円も引き下げられた。なぜ70歳になったとたんに減額されるのか教えてほしい。
  • 生活保護基準が引き下げられると就学援助や最低賃金などすべてのことに影響してくる。大阪府として厚生労働省に基準の引下げをしないよう働きかけてほしい。
  • 保護費がこれ以上引下げられたらどこを節約すればいいのかわからない。
  • 折り合いの悪い親戚もいる。扶養義務調査はしないでほしい。
  • これまで水で洗い物をしていたが、高齢になればお湯でないとつらくて出来ないようになり、高齢になるほどお金もかかる。当たり前のことが生活保護を受けていることでそれが通らないのは辛いこと。老齢加算や一時金を復活してほしい。

【大阪府】 保護基準は毎年見直されており、水準均衡方式で定められている。70歳になり保護費が下がるのは第1類の差で、第1類は栄養所要量を指数化し算出されており、69歳までより70歳以上は指数が下がるため、基準も下がる。

マスコミなどのあらぬバッシングに心を痛めておられることは、我々も同じ思い。今後の国の動きに対しては、大阪府としても注視していきたい。

【大生連】 引き下げはしないよう、国に要望して欲しい。