行政交渉

2013.12.16

大阪市生活保護交渉

12月16日阿倍野区役所で大阪市との生活保護交渉(一日目)をおこなった。13単組90人が参加し、アンケート10単組170人分を提出。小川陽太市会議員が激励に駆けつけられました。

おもな交渉内容は

  1. 生活保護基準の引き下げはやめよ。
  2. 淀川区の「適正な保護費の受給に協力してください」なる文書へ大阪市の適切な指導を求める。
  3. 助言指導のガイドラインの撤回を求める。

私のひとことから

  • 保護基準引き下げや期末一時扶助の大幅カットでいっそう暮らしが苦しくなった。消費税増税も決まっているのに、基準引き下げで弱者いじめをするなと国に言って欲しい。
  • 年末も控え、物価が上がっている。基準引き下げ、消費税増税で生活に打撃。
  • 夏はエアコン使用を我慢して熱中症になりかけた。

【大阪市】 基準引き下げについてたくさんの声をお聞きした。厳しい中で生活をしている実態をひしひしと受け止めた。生活保護制度は国の制度であり、保護基準についても、基準部会で検討され、国が決めたもの。地方自治体に裁量がない。また、来年4月の消費税増税については基準引き下げとダブルパンチだと、ご心配の声が多い。基準部会の中で消費税については考慮する必要があると意見が出ていると聞く。

当局参加者に感想を求めた

【大阪市】 法8条のとおり、基準は国が決める。国は5年に1回の家計簿調査を抽出実施しており、国に伝える機会にもなる。協力して欲しい。

【大阪市】 不正受給対策の担当をしている。「私のひとこと」や生活実態は参考にさせていただく。一部の悪い人のために、多くの生活保護世帯が言われなき差別をされることのないようにつとめている。

来年の基準引き下げは中止を求めるべき

【大生連】 私たちは職員基本条例、教育基本条例、政治活動規制条例の制定に反対した。理由は、職員が自由にものをいえなくなるから。上ばかりを見て仕事をすると職員が不幸になる。職員が不幸になると住民が不幸になる。今日の回答を聞いても、職員は足枷をされているのだなと思わざるをえない。
 
今までは、生活保護世帯の実態はどうなのかとそこに軸足をおいて回答されていた。しかし、今の回答を聞くと「国のやることだから仕方がない」とそこから一歩も出ていない。くらしの実態をつかんでいる地方自治体こそ厚生労働省にものを言ってほしい。意見をあげてほしい。生活保護基準の引き下げについても来年は引き下げ中止を求めるべきだ。市民の暮らしの防波堤の責務を果たしてほしい。2005年までは生活保護世帯への夏と冬の見舞金を国が実施しなくとも自主的に支給していた。

【大阪市】 法外援護として一時金支給は困難。消費税での上乗せについては国から詳細を聞いていない。

交渉で出された事案

浪速区37歳男性の事案と助言指導

男性は平成23年過呼吸発作で倒れ、失職した。貯金を切り崩して生活してきたが、生活困窮、公共料金、家賃の滞納。体調が悪い状態が続く。

2014年10月4日ごろ 相談扱いにて追い返し
10月25日  1回目申請→11月22日却下決定
この間、飢えをしのぎ、求職を続ける。11月14日に助言指導書が出された。
その日の食事代もないのに「仕事につくこと」と言われ、不安で夜も眠れない。
11月26日  2回目申請(代理人同行)
12月13日(?) 開始決定
【弁護士】 問題点は①相談で追い返し、申請手続きを援助する職務上の義務に違反 ②治療が必要だったにもかかわらず、病名の説明もせず稼働能力ばかりを強調。③指導指示が助言の名のもとに行われていた。ガイドラインは撤回すべきだ。④本人の困窮状態を把握せず、ハローワーク紹介案件のみを求職活動とカウントし、携帯やチラシでの求職活動を認めない。⑤同行申請の際、窓口には「暴力団排除」の張り紙、ブースには監視カメラが設置されていた。申請側には「録音するな」と指示。私は同行支援では、お互いの橋わたしの役割に努めている。浪速の福祉事務所の対応には敵意が感じられ、この案件だけなのか危惧している。

【大生連】 12月10日の厚労省の生活保護法見直しの説明会でも、「ハローワークでの求職活動の指導等は、保護の開始決定前には認められない。保護の開始決定後に法第27条に基づく指導及び指示として行われるべきものであることに留意願いたい」と戒めている。大阪市のガイドラインは「熱心な求職活動」「真摯な求職活動」の追求などでケースワーカーを縛っている。ガイドラインの撤回以外にない。

【大阪市】 保護が始まっていない方についてお願いすることは就労指導ではなく、その方が能力を持っておられれば、それを活用する意思があるか否かといったことを確認することが申請時に行うことです。ハローワークに行くとか求職活動の指示は保護が開始決定してからです。27条の指導指示にあたることは条文にも被保護者と明記されている。繰り返し言っていかねばならない。今日出された事案の内容が指導指示になっていれば、通知を守って仕事をしなければならない立場としては申し訳ない。指導をしていきたい。文書を出すかどうかは即答できないが、検討する。

淀川の文書は撤回を

【大生連】 淀川の文書について、淀川の担当に聞いた。不正受給の調査対象に就労の未申告などをあげるのは当然だが、車、単車を対象にしている。単車の使用は法78条ではなく、27条の指導指示の対象ではないか。なぜ不正受給の調査対象になるのか。また、文書では法律を省略したり不正確な表現をしている。教示義務のある行政がやることかと思った。
「なんで義務ばかりを強調して権利について書いていないのか」と尋ねたら「みなさんは権利についてはご存知です」という答えだった。文書をもらった人からも不安な声が届いている。「この文書は恫喝する内容ではないか」と言ったら、「みなさん、何か悪いことしてはるのですか」と答えられた。
 対応された方は社会福祉主事の資格を持っておられず、10年近く生活保護の仕事をしているという。淀川で出された「適正な保護費の受給に協力してください」という文書は他の区では見られない文書だ。私たちは不正受給は許さない立場で運動しているが、大阪市はこれを適切と判断しているのか。また、区民だよりには保護利用者の情報の提供を求める窓口の電話まで書かれている。

【大阪市】 一部の悪質な不正受給者がまじめな利用者の生活を脅かしかねない。適正化については積極的に取り組んでいる。適正化チームをつくったのは、通常の業務では困難な調査を重点的に行うため。調査だけではなく、未然に防止する対策や保護行政が適正に運営ができるように取り組んでいる。78条・不正受給を決定するのが調査対象というわけではない。適正に生活保護を受けていただくための調査です。車・単車も調査対象に含んでいる。78条はこれですと書いているわけではないと思います。車や単車を使って調査をしているわけではない。使用を認めている場合もあるが、認めていない場合は「乗らないように」と指導している。淀川の区民だよりに書かれている情報窓口については初めて知ったが、大阪市で制度化をしているわけではない。こういう意見を頂いたと淀川区には伝える。天王寺区は「しおり」の抜粋を決定通知に入れたと聞いている。

大阪市が示した仕送り額の目安

【大阪市】 扶養義務者に扶養の意志と扶養の能力があることが前提になる。扶養ができると言われた場合の目安。画一的に所得が●円だから●円とあてはめるものではない。本市職員から始めるが、今後どのように運用していくかは2015年7月から法改正などとも合わせて決めていく。区によって扱いがことならないよう、間違いがないように進めていきたい。

【大生連】 所得ゼロの方にも扶養の目安を示している。行き過ぎではないか。扶養義務の取り扱いについては「民法上の扶養義務は法律上の義務ではあるが、これを直ちに法律に訴えて法律上の問題として取り運ぶことは扶養義務の性質上なるべく避けることが望ましいので、努めて当事者間における話し合いによって解決し、円満裡に履行させることを本旨として取り扱うこと」としている。まず、大阪市職員への目安としているが、この目安がひとり歩きする危険性がある。

【大阪市】 居所の把握はするようにしている。お金の援助は無理でも連絡先は把握したい。

その他出された事案とやりとり

【住 吉】 49歳男性が、79歳の寝たきりの母の介護をしている。母は1日3回の身体介護を受けることになったが、寝たきりのためおむつ替えなどの介護が必要。しかし、介護は求職活動の理由にならないと厳しく言われ困っている。指導に従わなければならないのか。

【大阪市】 本人だけ見れば、十分な稼働能力があったとしても、介護など予想していなかったことが起きる場合がある。その都度、判断する。状況を精査して対応すべき。再度保護課から示さねばと考えている。また、介護などの使える他法の情報提供もしていくよう指導する。

【生 野】 資格取るために学校に行きたい。貸付をうけると収入認定をすると言われた。  

【 港 】  訪問の際、ケースワーカーが勝手に上がり込もうとする。拒否しても良いのか。

【大阪市】 業務として家庭訪問はする。しかし、同意なくふみこむことはあってはいけない。改めるよう伝える。

【西淀川】 保護決定前の助言指導が厳しい。ケースワーカーは仕事を探せとしか言わない。求職活動を要否判定の材料にする。1週間の求職活動を報告するようにいわれたので、福祉事務所に同行した。1件の求職活動をみて、「これで熱心と言えるか」と言われ、3日後に来るように言われた。生活のために借りているつなぎ資金の2万円の使途を聞かれた。1万円を共益費、3000円を食費に使ったと答えたら、あと7000円あるから求職活動はできると言われた。どうやって食べるのか。生活保護を決定したのち、就労指導をしたらよい。

【大阪市】 夏の交渉を受けて助言指導については保護課から職員すべてに、「保護課が示しているものから逸脱している取扱いをしているところがある。」と説明をした。浪速区の「仕事につくこと」の指導は行き過ぎと思う。画一的な指導ではなく、身体的、精神的な個々の事情にもとづいて判断すること。

介護扶助の一部負担について

生活保護利用者が福祉用具購入及び住宅改修の給付券を活用した場合の大阪市の誤った対応について、扱いについて改善を求めた。(市は通知を訂正して発行)

生野区ほかの事案 生活保護世帯が福祉用具などの購入の際、貯金通帳を調べられ、自弁を求められた。
このことで、社保協(大生連も参加)が交渉し、是正を求めた。
「介護保険給付の福祉用具購入や住宅改修にかかる費用の介護扶助は、給付券の活用の有無にかかわらず自弁の可否は扶助決定の要件にはならない」と通知を改めました。