2008.08.06
大阪市生活保護交渉 交渉1日目、17単組92名が参加
「家にクーラーがあっても使いません。電気代が心配です。アンケートの9割の人が食事代を減らしています。一時金を復活してください。」と交渉
8月6日(水)中之島中央公会堂で大阪市生活保護交渉(2日目)を行いました。大阪市保護課の岸課長代理、大場係長、武市係長をはじめ5名が応対。大生連からは17単組92人が参加。前回に出された事例の回答、申請権、緊急援護資金などについて交渉しました。医療担当が欠席のため、移送費については担当に伝え後日回答を求めた。
前回出された事例への回答
【 港 】 視力障害一級の方への「片目でも見えるからいけるはず」などの就労指導は不適切。配慮が必要。
【城 東】 包丁とぎの技術を持った人への指導―続けたい気持ちは大事だが、めどがたたなければ収入につながる他の仕事もさがしてほしいと話した。
【城 東】 面接室の机の上に「職員の指示に従わない場合や恫喝した場合は警察を呼ぶ」と書かれている件―窓口で大声を出すなど威圧的な人もいたので、昨年から置いている。しかし、面接室に不安を抱いて相談にくる市民の目に触れるもので、現地は「はずします。」とのこと。
【平 野】 療養中で雇用保険は支給されないのに、受給を指導された件は申し訳ないことをした。会議で周知徹底する。
【城 東】 うつ病の方の件は病気がよくなったから、すぐ生活ができるとはならない。しかし、完治する病気でなければ、病気と共存しながら仕事をしていくことも必要と話し合っている。
交渉やりとり
■年金調査は個別同意書で対応を
【大生連】 住之江の「同意書がなければ却下もありうる」といったが脅迫的言動だ。事務取り扱い運用も示して同意書の取り扱いを指導しないと新しいケースワーカーは分からないのでは。住之江では包括同意書に同意しない本人の前で「拒否」と書かれた。
【大阪市】 申請時に同意書を提出しないからといって却下することはない。しかし、保護の要否確認に包括同意書が求められている。要件が確認できなければ却下もありうるとお話した。申請する方によく説明したうえですすめるよう指導する。生活保護の調査は法29条でできる。しかし、本人の同意がなければ照会先が回答できない。
此花の件は現地に確認した。特定の目的のために必要な同意書なので、個別に状況をお聞きし対応すると言っている。
【大生連】 年金のための調査だから、年金のための個別同意書をつくってほしい。
【大阪市】 調査目的を明確にした同意書を検討していきたい。
【 港 】 27歳、二人の幼児をかかえた母子世帯。別れた夫からの養育費と児童扶養手当などで今までがんばってきたが、子どもの病気などで仕事をやめた。簿記二級の資格をとるために学校にも行っている。保護の申請に行ったら「学校より、今の生活が大事やろ」「こんなことで相談に来た人は初めて」などと暴言。もっと親身に対応してほしい。
【大阪市】 現地に確認した。本人は反省している。困った方への対応に配慮するよう伝えた。
【大生連】 「資格をとってどうするの」の発言は自立しようとする人の芽を摘むのか。国の支援プログラムにも逆行したやり方ではないか。
(参加者) 私も母子家庭でがんばっている。港のケースワーカーのようなことを言われたら飛び降りたい気持ちになる。その方の家に出向いて謝罪すべきだ。
【大生連】 自立支援プログラムは周知されているのか。
【大阪市】 生活の自立のためであれば資格取得もできる。プログラムは平成18年から実施しており、周知している。
【生 野】 民間住宅を借りる場合、連帯保証人を求められる。親戚もおらず、困っている。川崎市のように行政が代行してほしい。
【大阪市】 川崎市は保証人を斡旋している。連帯保証人のいない人の大変な状況は認識している。
■申請のたらいまわしはやめて
【東 成】 妻は東成に、夫は生野の高齢者施設に居住。生活保護の申請をするためにたらいまわしにされた。基準を明確にし、高齢者をたらいまわしにしないでほしい。
【大阪市】 世帯を同一にするか、分離するかは本人にとってどちらがよいのかで判断するが、今回は夫婦なので同一世帯の取り扱いにした。東成で申請してください。
■転居指導について
【平 野】 住宅扶助基準より5千円オーバーする場合、きつい転居指導があり「市営住宅に申し込まないと認めない」「子どもの小学校が変わっても転居せよ」といわれた。正しい指導か。
【大阪市】 転居は家庭の状況、子どもの教育の状況など現実に即して指導されるもの。公営住宅は民間にくらべて条件がよいからケースワーカーが転居をすすめたと思うが、居住の意思は本人が判断することだ。毎月5千円の家賃を上回る分が生活費に食い込むのはしんどいので先を考えて転居指導をしたと思うが、行き過ぎていれば現地に話はする。引越しをしたくない人に何が何でも移れということがあってはならない。
■指導指示について
【 港 】 70代の女性。息子(40代)が行方不明。
「息子の戸籍を抹消しないと保護は受けられない」といわれ、つらかった。戸籍係からは抹消しないほうがよいと止めた。
【大阪市】 誤ったことなので現地に確認する。
【 港 】 病院の診療回数が減らされた。生活保護になると減るのか。薬も制限されるのか。
【大阪市】 医療扶助は国民健康保険の診療方針および診療報酬で運用している。生保だからといって回数が制限されることはない。薬は飲み過ぎないように、重複をチェックしている。
■職員研修について
【大生連】 何度も同じ過ちがおきている。研修内容を教えてほしい。
【大阪市】 新採のケースワーカーが増え、ベテランが減っている。日々の質問、監査での質問に答えている。特に係長級の研修は時間も増やした。社会保障全般に学んでほしいと計画。弁護士などに講師を依頼した。生活保護制度だけでなく、人間をどう見ているか、どうやって仕事をやっていくか根源的な問題も含めて研修を行っている。内容については公表する。
【大生連】 受付面接は資格を持っているのか。
【大阪市】 福祉主事が望ましい。本市は全員が主事の資格を持っていないが、資格取得に勤めている。
■移送費
【平 野】 障害三級、平野から津久野に通院しているが、今までの通院方法を制限するようにいわれた。
【東淀川】 退院時のタクシー代を請求したが回答がない。
【大阪市】 後日、医療係から回答します。
■緊急援護資金について
【大生連】 要綱は10万円を限度として貸し付けるとなっているが、5万円しか貸してくれない。予算をふやして要綱どおりにやれ。
【大阪市】 運用は変わっていない。平成18年のケース2680件貸付のうち、5万円を貸付けたのは800件。
【大阪市】 貸付件数は平成18年2,680件、7456万円、平成19年3,060件、7776万2300円 区でばらつきがある。貸付開始より回収が多い場合は事務局であずかり、不足の区へまわして対応している。
■交通割引について
【 港 】 生保母子世帯への大阪市交通割引がこの四月から廃止された。障害者はどうなるのか。
【大阪市】 障害者の交通割引は各交通機関の規定で運用される。大阪市交通割引も利用できる。
■「一時金、水道料減免制度、大阪市交通割引を復活せよ」の切実な声に大阪市は応えて
【大阪市】 皆さんのアンケートを読ませていただいた。今回は物価が上がっている中、大変さが増していると痛感。消費水準や市の財政状況もある。関係機関に伝える。
【大生連】 クーラーがあっても三割の人が使っていない。午後2時ごろは耐えられないほど熱くなる。熱中症が心配だ。みんな節約しぬいてもまだ不足。一時金、水道料減免制度の復活など大阪市の独自施策をとってほしい。
【大生連】 寝たきりの夫のため、クーラーはどうしても必要。電気代が1万5千円かかる。ガス代もあがっているし、水道代も毎月5千円以上かかる。夫婦で心中も考えています。一時金、水道料減免制度を見直して下さい。
【大生連】 冬期加算のようにクーラー加算、夏期加算を作ってください。
【大阪市】 今日の議論は関係部局に伝えます。